
ラーメンや唐揚げ、焼肉など、こってりとした脂っこい食事をこよなく愛するミドル世代は多い。しかし、年齢とともに現実味を帯びてくるのが頭髪の悩みだ。
巷でよく耳にする「脂が毛穴に詰まって髪が抜ける」「油物を食べるとハゲる」という説は、医学的に見て正しいのだろうか。
10年以上にわたり多くのAGA診療に携わってきた、Dクリニック東京 院長の小山太郎先生に話を伺った。
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小山太郎⚫︎Dクリニック東京 院長。医学博士。慶應義塾大学医学部を卒業後、同大学院やハーバード大学医学部の関連病院で研究に従事。10年以上にわたりAGA診療実績を積み上げ、常に最新の知見に基づいた診療を心がけている。現在は、日本臨床毛髪学会評議員、日本メンズヘルス医学会幹事なども務める。
「脂で毛穴が詰まってハゲる」は都市伝説か
脂っこいと薄毛の関係を懸念する声は多いが、結論から言うと、この噂は医学的に見て事実と異なるようだ。
「脂っこいものを食べて、その脂が直接毛穴に詰まって髪の毛に悪い影響を与えるということは、医学的に考えるとあまり起こらないことです。何日か連続で脂っこいものを食べたからといって、その数日後にいきなり毛が抜けるようなこともありません」。

ただし、脂っこい食事がけっして髪に無害というわけではない。肥満こそが、薄毛のトリガーになることがあるという。
「肥満になると、肝臓で作られているSHBG(性ホルモン結合グロブリン)というタンパク質が減ることが分かっています。このタンパク質は、男性ホルモンであるテストステロンにくっついて、その働きを抑える役割を持っています。つまり、肥満によってSHBGが減ることで、実質的に自由に働ける男性ホルモンが増えてしまうのです」。
一般的に、肥満になると男性ホルモン自体は低下するとも言われている。しかし、それ以上に制御役であるSHBGが減少することで、結果的に男性ホルモンの影響が強まりやすい状況が生まれてしまう。
そして、男性ホルモン、テストステロンは、毛根に存在する酵素(5α還元酵素)によって、より強い作用を持つ男性ホルモン、ジヒドロテストステロンへと変換される。
「ジヒドロテストステロンは毛髪の成長を抑制する働きがあります。本来であれば数年かけて太く育つ髪が、十分に成長しないまま細く短い状態で抜けてしまう。これがAGAの進行です。肥満は、その進行を後押しする要因の一つといえます」。
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