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歩くほどに楽しいアートの街


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岡山市の中心部を歩いていると、街角や公共施設に現代アートがひっそりと佇むのに出くわすことがある。これは2018年から始まった「A&C」というプロジェクトで、映画館や美術館、神社といったパブリックスペースに、アート作品を長期間展示する取り組みだ。

あちこちに点在する作品は、街の風景にミュージアムの趣を与え、散策に小さな驚きと発見を届けてくれる。参加アーティストも豪華で、コンセプチュアルアートの先駆者、ローレンス・ウィナーやペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスなど、ミュージアムクラスの面々が名を連ねる。

現在は丸の内エリアを中心に5カ所で展開され、街の景色にそっと彩りを添えている。
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岡山にこの場所あり



音楽好きなら、一度はその名を耳にしたことがあるだろう。岡山が誇るライブハウス「ペパーランド」。

創業は1974年。日本にまだライブハウスという概念すらなかった当時から、音楽のみならず映像や演劇など、多様な表現を受け止め、アート活動を支え続けてきた場所だ。

その礎を築いてきたのがオーナーの能勢伊勢雄さん。写真家として、前衛映像作家として、そして現代美術展の企画者として多面的に活動してきた氏の歩みを、デザイナーの軸原ヨウスケさんが掘り下げた書籍『能勢伊勢雄入門』が、この2月に刊行された。



店の歴史や街との関わり、膨大な資料と記憶を手がかりに、岡山に刻まれた日本の表現史を辿る、読み応えたっぷりの一冊。
「Pepperland」
住所:岡山県岡山市北区学南町2-7-4
電話番号:086-253-9758
pepperland.net

香る手仕事、変わらない営み

びんかご(小)2200円/須浪亨商店

びんかご(小)2200円/須浪亨商店 maruhyaku-design.com


ワインボトルが収まる、いぐさのバッグ。取材で訪れた「スロウカーヴ」で見つけたものだ。かつて岡山は、いぐさの一大産地で、いぐさを使った製品作りも盛んに行われていた。「いかご」と呼ばれるかごもそのひとつで、暮らしの道具として親しまれた歴史がある。

「須浪亨商店」は、その文化を今に伝える工房。5代目の須浪隆貴さんがいぐさを縄状により、織り上げ、立体のかごへと仕立てる。

このびんかごは、もともと酒瓶など割れやすいものを守るための道具。軽くしなやかで、ほのかに畳の香りが立ち、使うほど飴色に育つ。岡山の暮らしの記憶を感じられる一品だ。

実は、Made in OKAYAMA



文房具店でよく見かける、カラフルなマスキングテープ「mt」。実は岡山・倉敷で生まれたプロダクトなのだ。

手がけるのは1923年創業のカモ井加工紙。もともとはハエ取り紙の製造会社として始まり、その後は建築や塗装の現場で使われる工業用マスキングテープを作り続けてきた。薄くて丈夫、きれいに貼れて、跡を残さず剥がせる特性は、現場で磨かれた技術。それを暮らしのなかで楽しめる文具へと生まれ変わらせたのが「mt」なのだ。

現在も倉敷の工場で作られ、世界中の文房具店へと届けられている。工業の技術を生活のデザインへ。そんな発想から生まれたこの小さなテープもまた、ものづくりの土地、岡山が育んだクリエイティブのかたちだ。
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