茶農家が淹れる、自由な一服。心ほどける、蔵のひととき
お茶を立てる下山さん。手がけた煎茶が国体のウェルカムティーに採用されるなど、茶農家としての受賞歴も多い。
「福岡醤油ギャラリー」の隣、昭和初期築の蔵を再生した空間に茶房「SABOE OKAYAMA」はある。
この日、カウンターに立つのは、美作市で代々続く茶農家、下山桂次郎さん。茶葉を育てる“作るプロ”であり、その魅力を届けるプレゼンターでもある。茶を知り尽くした下山さんの流れるような所作を、間近で楽しめるのがコース「茶と菓子とあて」だ。
10種のティーコレクションの構成とブレンドは、「櫻井焙茶研究所」の櫻井さんによる監修。
その主役となるのは、10種のティーコレクション。ナンバリングされたリストには、煎茶に柚子や黒文字を合わせたものから、漢方や穀物を用いたものまで、自由なブレンドが並ぶ。
目覚めの一杯から就寝前まで、今の自分にぴったりの味わいを選ぶのも楽しい。そんな軽やかなお茶の楽しみを、茶の成り立ちを肌で知る“作るプロ”が淹れる。なんとも贅沢だ。
コースで供される八寸。この日は「東屋」謹製の棗バターと黒豆しぼり、それに岡山県産いちごが並ぶ。ローストしたクルミとバターをデーツ餡で包んだ棗バターは、お茶との相性が抜群。
福岡醤油の応接室をリノベーションした売店スペース。「SABOE」自慢のブレンド茶のほか、下山さんの茶畑で収穫された茶下山など、地域に根差したお茶も揃う。
生産現場のリアリティを知っているからか、下山さんのスタイルは自由で柔軟だ。茶道をベースにした所作を貫きつつも、客にそれを求めない。「ただ、くつろいでほしい」。
城下町の記憶を宿す蔵での一服が心をほどき、ここでしか味わえない、文化と歴史の息づく体験となる。
「SABOE OKAYAMA」住所:岡山県岡山市北区弓之町17-35電話番号:086-207-2779saboe.jp 3/4