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地域のインフラ、麹屋の誇り。代々守る、“変わる”味


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味噌も醤油も酒も、元を辿れば麹から始まる。かつて町には麹をつくる「麹屋」があった。

瀬戸内市で三代続く「名刀味噌本舗」も、農家の米を麹に加工して返す、地域の食文化を支えるインフラとして始まった。今も自家製味噌と並行し、地域のための麹を仕込み続けている。

昨年末、蔵の隣にオープンした販売所の前で。左から三代目の高原隆平さん、二代目の宣隆さん、そして隆平さんの兄、陽平さん。

昨年末、蔵の隣にオープンした販売所の前で。左から三代目の高原隆平さん、二代目の宣隆さん、そして隆平さんの兄、陽平さん。


麹室は決して最新設備ではない。だが三代目の高原隆平さんは、そこにこそ土地の味が宿ると考える。蔵に棲みつく多様な菌が共存することで、味に奥行きが生まれるからだ。
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原料米には、岡山で栽培される稀少な在来種「朝日」や「あけぼの」を厳選。

原料米には、岡山で栽培される稀少な在来種「朝日」や「あけぼの」を厳選。


さらに一本筋を通しているのが、食品添加物・保存料を用いないこと。そしてできるだけ自然な発酵熟成を心がける。四季の寒暖に委ねるため、ときに仕上がりにブレも生じる。だがそれが、生き物である証しだ。

二代目が伊豆大島の塩メーカーからのリクエストで開発した「合わせ麹味噌」。今や不動のベストセラー。

二代目が伊豆大島の塩メーカーからのリクエストで開発した「合わせ麹味噌」。今や不動のベストセラー。


傍らに立つ二代目の前で、三代目は言う。「看板商品であっても、仕込みの改良を続けています」。代々受け継いだ蔵の環境を守りながらも、そこに安住はしない。

看板商品ですら仕込みの工夫を重ね、少しずつ味を磨いていく。自慢の麹を使った甘酒の提案も、そうした姿勢の延長にある。

販売所では、初代のご尊顔をプリントしたTシャツを販売中。創業年を示す“1954”の文字が誇らしい。

販売所では、初代のご尊顔をプリントしたTシャツを販売中。創業年を示す“1954”の文字が誇らしい。


麹屋として始まった「名刀味噌本舗」の営みは今も、土地の発酵とともに静かに更新を続けている。
「名刀味噌本舗」
住所:岡山県瀬戸内市長船町土師14-3
電話番号:0869-26-2065
meitoumiso.com
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