ワインがつなぐ街のハブ。岡山の食の現場が交わる場
わかりやすくワインの背景を伝えてくれる店主の渡邉隆之さん。
岡山市内の飲食店が信頼を寄せるワインショップ「スロウカーヴ」。店主の渡邉隆之さんは、東京でシェフとサービスマンを経験後、15年前に岡山へ。
彼がこの店で体現しているのは、単なる小売りではなく、プロの伝え手としての役割だ。
主な取り扱いは西ヨーロッパのナチュラルワインだが、今回は岡山の作り手による商品を選んでいただいた。左から「ドメーヌテッタ」アルバリーニョ 2024 5500円、「ドメーヌテッタ」シャルドネ ペルラン 2024 5500円、「コチブルワリー」ネイキッドエール 2500円、「ラ グランド コリーヌ ジャポン」マヤカミ 2024 7238円、「グレープ シップ」朱 2025 3300円。
「作り手が命をかけて生み出したものだからこそ、自分はその思いを深く正しく伝えたい。その役割こそ、伝え手としてのプロフェッショナリズムだと思います」と渡邉さん。その言葉どおり、国内外の生産者を訪ね、現地の気候や作り手の思考までを深く理解して店頭に立つ。
吉備高原で放牧酪農を営む「吉田牧場」のチーズ(1080円〜)。
そしてワインの傍らには、チーズや味噌など、渡邉さんがその哲学に納得した岡山の作り手の品々も並ぶ。生産者とユーザーがきわめて近い距離にあることは、岡山の食文化を支える大きな利点だ。
常時20種以上のグラスワインを揃える店内奥のワインスタンド。0次会から2次会まで、自由なスタイルで楽しめる。
この街ならではの濃密な距離感は、飲食店との関係性にも表れている。「スロウカーヴ」は、あえて配送を行わないスタイルを貫いている。そのため仕込みの合間や夜の営業を控えた昼下がり、店には馴染みの飲食店主たちが自然に顔を出す。
渡邉さんとの会話はもちろん、店先では料理人同士が気軽に情報を交わし、そこから新しいアイデアが生まれることもある。
市内の予約困難店「にこみ瞠る」の特製ラー油(650円)も販売中。
「図らずもここが、街の食文化が交差する場になっているんです」と渡邉さんは微笑む。岡山という土地が持つ豊かなポテンシャルと、対面でのやり取りが生む熱量。その掛け合わせが、この街の食を底上げする磁場となっている。
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