立体裁断が変えた「ジーンズ」の価値観
矢野さんがこれほどまでリーバイス レッドに惹かれた理由は、王道ブランドが見せた「意外性」にある。

「単純に天邪鬼で手を出したわけではありません。王道のリーバイスが、ヴィンテージ全盛時代に、全く違う価値観のものを出してきた。立体裁断という言葉もその時初めて聞きました。デニムをそんなアプローチで作るのかと衝撃を受け、これは絶対に買わなければという使命感に駆られましたね」。
日本での争奪戦では、件のカバーオール以外にジーンズも狙っていたが、購入制限もあり断念。しかし、後に卒業旅行で訪れたドイツで運命的な出合いを果たす。

「たまたま現地で売っていたんですよ。当然、即買いです。2本購入したのですが、どちらもスリムモデル。実際に穿いてみて、立体裁断の意味を理解しました。シームが斜めに入っていて、裾も前と後で丈感が変わってくる。今まで穿いていた平面的な501とは、シルエットが全然違いました」。


「今はもう消えてしまったのですが、当時はポケット付近に型紙の跡を模したようなプリントラインがうっすらと入っていたんですよ。どちらもレザーパッチは最初から付いておらず、コインポケットの作りも独特」。


「また、一方はリベットがありますが、もう一方には付いていない。細部まで実験的で、プロダクトとして本当に面白いですよね。僕ら世代にとっては、誰もが憧れる存在だったのではないでしょうか」。
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