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『M-1グランプリ』決勝の前夜まで続けた夜勤


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学業の傍ら、部活動のように介護に関わり続けた安藤さんだが、やがて関心はバンドやお笑いといった表現の世界へと広がる。

「『えびす温泉』というバンド勝ち抜き番組が好きで、バンドの追っかけみたいなことを始めてからバンドのスタッフとして関わることになりました。機材を運んだり、もぎりをしたり。そこでのある出会いをきっかけに大好きなお笑いの世界へと道が開け、高1でお笑いコンビに加入しトリオを結成したんです。

基本的に好きなことしかやらない性格だと思います。そのための行動力はある方かな。お笑いもやる、介護も続ける。好きだから辞める理由はなかったし、むしろ、生活を支えてくれる収入源でもありました」。
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日中は芸人として舞台に立ち、夜は介護の現場へ。そんな二足のわらじを履く生活は、メイプル超合金としてブレイクを果たす2015年の『M-1グランプリ』決勝前夜まで続いた。

「20歳でホームヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)の資格を取り、自分から夜間の訪問介護を希望しました。夜9時から翌朝7時まで、一晩で15〜20軒のお宅を回るんです。1軒あたりの滞在時間は約30分。安否確認だけのこともありますが、基本は排泄介助や陰部洗浄、おむつ交換といったカラダ介護がメインでした」。

一見すると過酷なスケジュールだが、安藤さんの言葉から伝わるのは充足感やプロとしての矜持だ。

「ベッドシーツのわずかなシワひとつが皮膚のただれを招き、ひどいときは骨が見えてしまうほどの傷になるリスクもあります。シーツも衣類もビシッとセットすることが大切で、すべての作業を寝ている家族を起こさずにやる必要もあります。夜間の訪問介護は特に神経を使う仕事でしたが、私を信頼して家の鍵を預けてくれる、ご家族の役に立てることはやりがいでした」。
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