
親の介護。遅かれ早かれ向き合うことになるこのテーマは、いつ、どんな形で我々の日常に訪れるかわからない。
「いざとなってから動き出すのではなく、まずは選択肢を知り、親と話し合った上でベストチョイスを選んでほしい」。
そう優しく背中を押すように話すのは、お笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつさんだ。
相方の破天荒なギャグをローテンションなツッコミでいなす姿が印象的な彼女だが、知る人ぞ知る、介護の世界に20年以上携わってきた現場のプロである。2023年には国家資格である「介護福祉士」も取得した。
なぜ安藤さんは介護の道へ進み、芸人になってからも現場に立ち続けたのか。その原点と理想の未来、そして親の介護に漠然とした不安を抱くオーシャンズ世代へのアドバイスを伺った。
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安藤なつ●1981年、東京都生まれ。お笑いコンビ・メイプル超合金のツッコミ担当。2015年『M-1グランプリ』ファイナリスト。芸人活動の傍ら、20年以上にわたり介護現場に携わる。2023年には介護業界の広報を目指すべく、国家資格である介護福祉士を取得。著書に『介護現場歴20年』『弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門』がある。写真は趣味のバイク、ハーレーダビッドソンの「ファットボーイ」。
叔父が営む小規模施設が”幼少期の遊び場”

安藤さんが初めて介護の世界に触れたのは、今から35年ほど前。まだ小学1年生のときだった。
「叔父が自宅を改装して、脳性麻痺や自閉症、精神障害を持つ方たちがともに暮らす小規模施設を運営していたんです。歌ったり、踊ったり、お菓子を食べたり。私にとってそこはひとつの遊び場でした。中学生に上がる頃には部活動のような感覚で毎週末のように泊まり込み、食事介助や入浴の手伝いをするようになっていましたね」。
世間一般では、介護といえば「きつい」「汚い」「大変」といったネガティブなイメージが先行しがち。しかし、安藤さんの場合は順番が逆だった。
「私の場合は恵まれたスタートだったと思います。大変だっていう先入観を持つ前に、介護の楽しさを知ったので。周りから『キツい仕事でしょ?』といわれてもピンとこないんです。
誰かの役に立てたり喜んでもらえることが純粋にうれしいし、自分なりに工夫して相手と信頼関係ができていくプロセスも純粋に楽しい。好きでやっているのでお任せください、っていう感じですかね」。
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