嗜好品も立派な支援物資だ!
トイレの問題然り、たとえ被災中であっても、日常の中で譲れない楽しみやストレス発散の手立ては考えていいと野口さんはいう。
東日本大震災の際に、救援物資としてタバコを差し入れ、とても喜ばれたというエピソードが、「被災時であっても我慢する必要はない」という思いを強くしたそうだ。
「陸前高田市の地元ボランティアの皆さんに『タバコありますけど、要ります?』と聞いたら、歓声が上がるほど喜んでくれたんです。その時、支援物資とは生活必需品だけじゃないんだなと、強く思いました。精神的ケアにつながる嗜好品も、大切な支援物資なんですよ。とにかく日本人は、というか日本社会は“被災=我慢”と考えがちです」。

その根底には「支援物資を届けてもらっている」という負い目の気持ちがあるからだろう。だが野口さんは、被災者と支援者の関係は対等でなければならないと訴える。
「熊本地震の時のテント村で、子供たちが突然コーヒー屋さんを始めたんですよ。ボランティアの我々にコーヒーを振る舞ってくれたんです。これがすごくありがたかった。
被災者の人は当然だけど、支援する側にも疲労やストレスがあって当たり前ですよね。一杯のコーヒーで、支援する側の僕らが救われたわけです。こうしてコミュニティの中に“役割”ができると、互いに対等な関係性が自然とできあがるものなんですよ」。

熊本地震のテント村で、野口さんはあえて「楽しもう!」と声をかけたそうだ。
「グラウンドで子供たちがキャッチボールやサッカーをしたり、大人たちがルールを遵守したうえでお酒を酌み交わしたりする光景を見て、不必要な我慢はむしろ、マイナスなんだと実感しました。ひどく塞ぎ込んでしまうことや孤立を防ぐ意味でも、いかにエンジョイする雰囲気を作るかが大切です」。
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災害はどこか遠い場所の話ではなく、自分の街にも必ず起こるものだと肝に銘じて、「自分たちで生き延びる知恵や力」を養っておきたい。