カスタムはしない。そのままが1番強い

命の現場に赴くための道具として、荻野さんはランクルに何も装飾を求めない。このタフな外観も、何ひとつカスタムを施していないという。
「何もやっていない、ド・ノーマルです。下手にいじらない状態が一番強いと思っているので。ただ、フロントガラスは既に5回ほど替えました。落石や枝がバチバチあたる茂みを突き進んでいくので、こればかりは仕方ないですね。
ロゴを“TOYOTA”の文字に替える人も多いですが、僕はあえてこのまま。外装にはあまりこだわりがないんです」。

外装の無頓着さとは裏腹に、その機能美、つまり中身への信頼は絶大だ。
「内装は武骨そのものです。特に70に関しては居住性なんて言葉は最初から除外されている。とにかく頑丈で、壊れないことに特化してますから。板バネだし、ただのトラックですよ。乗り心地は正直言って、最悪です(笑)」。
取材時に撮影した走行メーター。取材から1時間後には20万kmに達したという。
最悪と言いながらも、荻野さんの表情には充足感が漂う。計器に刻まれた膨大な数字がそれを証明していた。
「でも、不思議と慣れるんですよ。長距離を運転していてもまったく疲れない。そろそろ走行メーターは20万kmになるところです。最近の車っていたれり尽くせりでしょう? 乗り心地はぬめっとしてるし、車線を逸脱したらピーピー鳴るし、バックすればピコピコうるさい。このランクルにはカーナビさえ付いていない。それが最高なんです」。
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