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愛は即時決済。ホワイトデーなんて義務はない!


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もう一つ、僕が来日当初に腰を抜かしたのが「ホワイトデー」の存在だ。3月14日に男性がお返しをする? しかも「倍返し」なんて言葉が飛び交う? これは世界的に見ても日本(と一部のアジア)だけの極めてユニークなシステムだ。

イタリアにはホワイトデーはない。愛はギブ・アンド・テイクの即時決済だ。バレンタイン当日に愛を伝え合い、その場で完結する。1カ月後に「お返し」という形で精算するシステムは、イタリア人の感覚からすると、あまりにもビジネス的で、情緒に欠けるように見えてしまうのが正直なところだ。「もらったから返す」という義務感が、ロマンスの邪魔をしているのではないか、と。

だけど、長く日本に住むうちに、この「義理」の美学も理解できるようになってきた。日本人はシャイだ。言葉で「愛している」や「ありがとう」を伝えるのが苦手な民族だ。だからこそ、チョコレートやお菓子という「モノ」に感情を託す。義理チョコも義務ではなく、円滑な人間関係を築くためのコミュニケーションツールなのだと気づいたとき、日本のバレンタインが愛おしく思えてきた。
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最近の日本のトレンドで、僕が最も素晴らしいと思っているのが「自分チョコ」だ。誰かのためではなく自分が美味しいものを食べるために最高級のショコラを買う。この「美食への貪欲さ」こそ、僕が愛する日本の食文化の真髄だ!

パリやベルギーのトップショコラティエたちがバレンタインにこぞって日本に集結するのも頷ける。日本の消費者の舌は肥えていて、本当に良いものには金に糸目をつけない。日本のデパートは、間違いなく世界最高峰のチョコレート見本市だ。これを楽しまない手はない。男性だって、自分のために極上のプラリネを買ってウイスキーと一緒に楽しんだっていいよね?
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