偏見がないからこそ楽しめる「523」


もう一本、相田さんが手に取ったのは「523」だ。
「正直、シルエットすら知らずに買いました(笑)。調べても全然情報が出てこなかったんですよ。濃い色の501があるなら、薄い色のバリエーションも欲しくて。これはウエスト30、レングス32のレギュラーストレート。穿いてみたら、501より少し細身で、野暮ったさがないのが気に入っています」。


古着屋で購入したという一本は、そこまで古くはなくその上メキシコ製。ヴィンテージ的な価値よりも、「今の自分に似合うシルエットか」を優先する。そのフラットな目線こそが、スタイルの鮮度を保つ秘訣なのだろう。

“リーバイス信者”ではない彼にとって、ブランドはどんな存在なのか。
「ドレス好きから見れば、リーバイスは『レジメンタルタイ』のような存在。毎日締めるわけではないけれど、一本持っていれば安心。正直、今でもジーンズは作業着だと思っている節がありますし、妻からも『本当に似合わないね』って言われます(笑)」。
自虐を交えつつも、相田さんの表情は楽しげだ。

「そんな人間ですら手に取らせるわけですから、リーバイスは恐ろしいブランドです。それに、着たい服と似合う服が一致しないからこそ、ファッションは面白い。似合わないものをどう自分なりに攻略するか。そのプロセスをこれからも楽しんでいきたいですね」。
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ジーンズに苦手意識を持つ大人は少なくない。だが、相田さんのように「似合わない」ことを前提に、どう料理するかを考える。その試行錯誤こそが、ファッションを楽しむためのスパイスになるはずだ。