MVやSNS、出演メディアなど、いつ見ても公私ともにデニムばかりのミュージシャン・荒谷翔大さん。その姿にはアーティストとしてのブレないスタイルを感じるし、奏でる世界観にもピタリとハマっていて、何しろ抜群に似合っている。
そして気になるのが、あのデニムたちの正体。ならばと彼にコンタクトを取り、選りすぐりのプライベートデニムを教えてもらった。
荒谷翔大●1997年、福岡県生まれ。ほぼ全曲の作詞&作曲とボーカルを担ったバンド・yonawo を脱退後、2024年よりソロアーティスト活動をスタートし、同年8月リリースのシングル『雨』でメジャーデビュー。新曲発表や全国ツアーなどを精力的に続け、若者だけでなくOCEANS世代のファンも増やしているアップカミングの注目株。aratanishota.com
入口はアーティストたちのデニム
――年間で300日以上はデニムをはいていると伺いました。いつ頃から好きになったのか、そのキッカケを教えてください。荒谷翔大(以下、荒谷) 初めてデニムを買ったのは高校時代、古着のリーバイスでした。モデル名は憶えていないけど、おそらく「501」ではなかったはず。
当時はファッションに詳しいわけでもなく、何となく見た目だけで選びましたね。ただ今になって振り返ると、ビートルズや尾崎 豊さん、斉藤和義さんなど、聴いていたアーティストがデニムをはいていたので、無意識のうちに影響を受けていたのかも。だから音楽を入口にしてデニムに興味を持ったのだと思います。

自分で働いたお金で初めて手に入れたのは、この一本です。18〜19歳までワーキングホリデーでカナダに行っていたとき、アルバイトをして現地のスリフトストアで購入しました。倉庫のような広い店内に格安の中古服やボロ着が山積みにされていて、そこから見つけ出すのが宝探しみたいで楽しかったですね。
50年以上も続くカナダ発のデニムブランド、バッファロー デイビッド ビトン。こちらは定番モデルとなるリラックスストレートの「ドリブン」。18歳から今も現役ではいている10年選手。
相当はき込んで随分と色が薄くなったのですが、3年前に友人の中里凌也君(シルクスクリーンプリント専門ブランド、インピューデント ライフのデザイナー)がフワラーモチーフを手刷りしてくれたんです。リメイクされて、また新鮮にはけるようになりました。
――やはり、たくさん所有されているんですか?荒谷 そこまで数はなくて、12〜13本ですよ。いくら好きとはいえ次々に買い足すことはなくて、気に入るとヘビーローテーションして徹底的にはき潰します。
持っているのは、ほとんどが古着。ブランドやネームバリューは気にしないので、タグも見ずにデザインや雰囲気で選びます。ファッションも音楽と一緒で、歴史や背景を掘り下げると発見や学びがあって面白いけど、情報を入れずにピュアな直感だけでピックアップする良さもある。
レイジブルーのスリムストレートモデル。日本のブランドだが、こちらも19歳のときにカナダのスリフトストアで見つけた古着だとか。「持っているデニムのなかでは最も細身です」。
一度でも知ると知らなかった純粋な視点に戻ることはできないし、あえて見識を広げないのもひとつの楽しみ方だと思っています。当然それでも少しずつ知識は増えていますが、偶然の出会いを大切にしたいし、そうすると何だか思い入れも強くなるんです。
――デニムを探す行きつけのショップがあれば、ぜひ知りたいです。荒谷 デニムに限らないのですが、新品ですと友人が手掛けているUKカルチャーに紐づいたブランド、キャバレー ポヴァールが多いですね。古着の場合は目当てのアイテムを探し歩くこともなく、フラッと入ったショップで何かあるかなぁって物色します。だけど福岡に住んでいた20歳の頃から通っていた店は、今でも帰ったときに時間があれば覗きます。
1990年代のカーハートのワークパンツは、上京前に通っていた福岡の「ノボ」で5年前にゲット。腰のサスペンダーボタンや膝のダブルニー仕様、そして腿のシミ汚れが購入の決め手に。
あとは、スタイリストさんが用意してくれた衣装を買い取らせていただくことも。
バンドデビュー以来お世話になっている方なので、僕のツボを熟知していて、まさに好みのデニムが多い。
昨年の全国ツアーのステージでも着用したスタジオ ニコルソンのベイカーパンツ。「キレイなワイドシルエットとパッチポケット、青みの強いインディゴブルーにひと目惚れしました」。
先ほどはアイテムのバックグラウンドに触れないようにしていると話しましたが、プロはそこにもこだわっているし、いろいろと教えてくれます。すると、さらに惹かれて思わず欲しくなっちゃう(笑)。
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