吉田浩一郎(よしだこういちろう)●1974年生まれ、兵庫県 出身。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リー ドエグジビジョンジャパンを経て、ドリコムにて 執行役員として東証マザーズ上場を経験。そ の後独立し、2011年クラウドワークスを創業。 14年東証マザーズに上場。文部科学省起業 家教育推進大使、国際文化会館評議委員。
副業や在宅ワークなど、企業と個人のマッチングによって新しい働き方を提案する「クラウドワークス」。
代表取締役社長兼CEOの吉田浩一郎さんは、「ビジネスと自分、そして人との関係性が今の時代のウェルビーイングを考えるうえで大きなテーマになっていると感じています」と語る。

「20世紀は会社が人生の大半を占めていましたが、21世紀になりインターネットが発展したことで、個人がネット上でビジネスを行ったり、趣味の仲間とつながったりすることが容易になりました。
今の時代において、会社は自分の人生のひとつのコミュニティにすぎず、複数のコミュニティを持つことがウェルビーイングにつながると考えています」。
吉田さん自身、忙しい社長業の合間を縫いながら、さまざまなコミュニティに身を置き、新たな出会いを大切にしている。

「私は圧倒的に“人との出会い”から学ぶことが多い人生でした。
だからこそ、自分のコンフォートゾーンを出て、未知の分野や、ときに不快に感じるコミュニティであっても積極的に顔を出すようにして、その後の自分の人生に変化を起こしていこうと考えているんです」。
そう語る吉田さんも、39歳までは仕事一筋の無趣味人間だったという。それが40歳を迎えたころから、次々と新たな挑戦を始めるようになる。

「今、いちばん楽しい」と話すバックカントリースキーは、友人からスキーのレッスンに誘われたことがきっかけだった。
ビジネス面では41歳から英会話を学び始め、今ではTOEIC900点を達成したそうだ。
年齢を重ねるほど、人はコンフォートゾーンから踏み出すことに躊躇いがちになる。だが、吉田さんは「安定は中長期的な持続性を失い、不安定なものは中長期的な持続性を生む」と話す。
「安全が確保されている状態はありがたいですが、ただ“安定”している状態は、長い目で見れば“停滞”しているのと同じ。
不安定さを許容したほうが、肯定的になれると思っています」。
変化が激しい現代社会において、不安定さや予測不能な出来事を軽やかに楽しむ吉田さんの姿勢は、ウェルビーイングでいるための、ひとつの指標になるだろう。
OCEANS1月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!