海に座る。自分に戻る。
北村さんのSNSを見ていると、海の写真がとても多い。自然と向き合う時間は、彼にとってどんな意味を持つのだろうか。
「海が好きで、ずっと見ていられるんです。中学を出て商船高専に進みましたが、当時は本気で船に乗りたいと思っていました。島の寮で暮らして、毎日、海のそばにいたんですよ」。街やスタジオで過ごす時間が長くなるほど、どこかで戻る場所を求める。北村さんにとって、それが海だった。
「東京は、人も情報もギュッと詰まっているでしょう。だからリセットできる場所が欲しくなる。僕にとっては、それが海なんです。30分くらい何もしないで、ただ波を見ていますね。座禅を組むわけじゃないけど、自分に戻るための“座る時間”みたいなものです」。
行き先は、沖縄でもハワイでも構わない。朝早く起きて海辺に座り、コーヒーを飲む。ただそれだけだ。
「以前、仕事で中国の少林寺を訪れ、座禅を体験したことがあり、そのとき学んだのは『無心になれ』ではなく『自分について考えなさい』だったんです。坊さんに叩かれながら(笑)。その言葉が、ずっと残っています」。
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時折リフレッシュを挟む理由を、北村さんはF1マシンに例えて説明してくれた。
「F1は、走り続けるために必ずピットに入りますよね。メンテナンスをして、またコースに戻る。運転しているドライバーは自分自身です。自分というマシンを理解していなければ、うまく走らせることはできない。だから僕は、意識的に“ピットに入る時間”をつくるようにしています。海にいる時間は、そのためのもの。本当におすすめです」。 5/5