「The BLUEKEEPERS project」とは……▶︎
すべての写真を見る海と絡めて語られるプラスチックは悪者としての文脈が大半だ。だから、「海プラは無料で手にできる資源」だとする意見には、その真意を聞きたくなるパワーがある。
いったい、プラスチックを取り巻く世界では、何が起きているのか? 廃プラの再資源化事業を展開するリマーレの代表、間瀬雅介さんに聞いた。
海を漂う廃プラは、社会の悪者ではなく“資源”
リマーレ 代表取締役 間瀬雅介さん●1993年、愛知県生まれ。航海士・機関士として南極海を含む洋上を航行後、生活に必要不可欠なプラスチックを循環素材にするべくリマーレを創業。「地球の7割 (=海) を遊び場に変える」を人生の理念とする。
海を漂うプラスチック。どこかで捨てられ、海岸線にたどりつくそのゴミは、環境を汚すことから悪者扱いをされる。しかし異なる視点を持つのがリマーレの代表、間瀬雅介さん。「海プラは資源」なのだと言い切った。
リマーレは三重県に拠点を構える廃プラの再生事業会社だ。企業から排出されるプラスチックや、海上に浮遊する役割を終えた漁業用品などの廃プラを活用し、板材をはじめとするマテリアルを製造している。
しかしプラスチックは焼却処分されるのが一般的。理由のひとつは、廃プラの多くが2種類以上の材料を組み合わせた複合プラスチックであり、再資源化にはすべてを単一素材に戻す必要があるため。融点が異なる複数のプラスチックの分離は難解で、その必要のない焼却は選択しやすい方法なのだ。
海ゴミの6割は漁業ゴミ。そのため、鳥羽・伊勢・志摩の漁師たちと漁業ゴミを処理する新システムを構築したいと言う。現状、漁業ゴミを素材に100%再生ペレットとアートボードを実現している。
廃プラは燃やす。これが日本における常識。だが間瀬さんは捉われなかった。複合プラスチックをリサイクルできる技術を開発したのである。
「漂着物のプラスチックを悪者と捉える思考は大量生産・大量消費の産業構造によるものでしょう。加えて、陸だけで生きる人間特有の視点だとも思うんです。
製造業でさえ、素材を開発し、加工し、製品化する全工程に関わる人は少ないですよね。だからペットボトルはペットボトルでしかなく、どのような背景で生産され、どのような最後を迎えるかなんて考えません。それに陸では安心安全に生活ができ、自分で何かをする必要はありません。
僕はかつて航海士かつ機関士として船に乗っていたことがありますが、船内には限られたモノしかなく、排熱を使い海水から淡水を作ったり、ディーゼル機関の一部が故障した際の代用品に工具のスパナを使えないか思案したりと常に考える必要性に迫られました。陸と過ごし方が異なるおかげで、多様にモノを見る力が養われたんです」。
使い終えたライターなど身近な黄色のプラスチックから(上)。薬を服用し終えて残されたカラフルなプラスチック包装シートから(下)。美しい板材をはじめ、共創企業とともに線路の枕木、クルマの内装樹脂部分、物流パレットなど多くの製品を作り出してきた。
その力は、「プラスチックは単純な存在悪ではない」という見方もくれた。
「非常に少ないエネルギーコストで形状を変えられる素材はプラスチックのみ。分子レベルで考えたら用途はさらに多岐にわたり、ダイヤモンドを生成したり石油に戻す実験も成功しています。
非常に使える資源で、しかも海の向こうからやってきて無料で手に入れられる。それこそ航海士時代に目にした、海プラが数多漂うフィリピン海沖の光景が、今では“宝の海”のように思えますから」。
そうして海から陸に上がると本格的に起業。複合プラスチックを含めた海プラの再資源化をかなえる工場を設立し、新たな航海へ出発した。
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