
若い頃の好奇心は抑えが効かない。あらゆるトレンドに目移りし、失敗を繰り返しながら自分を探す。だが、そんな時期を通り過ぎた大人たちは、経験の厚みゆえに知っている。自分のキャラに、体に、そして心にシンクロするデニムが何たるかを。
渡辺産業でセールスを担う吉村健太さんも、そんな「自分を知る大人」のひとり。彼が間近で見てきたファッション業界の手練れたちは、皆一様にリーバイスを穿いていたという。
諸先輩の背中に教わった、デニムの真理。吉村さんのワードローブを支える4本から、その理由を探ってみよう。
【写真18点】「先輩の影響で“501のブラック”に開眼」の詳細を写真でチェック 紹介してくれたのは……
吉村健太(よしむら・けんた)●カメラ業界からファッション業界へと転身した異色の経歴をもつ渡辺産業のセールス担当。イギリスの名門と国内の気鋭ブランドとの接点を作り続け、新鮮なコラボ企画を実現させること多数。現在は、英国文化のひとつでもあるランブリングを背景にしたブランド・カレドアーを担当し、さまざまな業務に携わっている。
若かりしバイカー時代を支えた「501」の黒

吉村さんの周りには、常にファッションの模範となる存在がいた。
「小学生の頃からずっと野球畑。中2、中3でファッションに興味を持ち、近所の先輩に教えてもらいながら、高円寺の古着店へ通っていました。当時、ジーンズといえばもちろんリーバイス。店員さんに『1万円以内で買えるものを』と緊張しながら聞いていましたね」。
部活引退後、バイクの免許を取った吉村さん。バイト先で出会ったオフロードバイク好きの先輩が穿いていたブラックの501に心奪われる。

「その姿がえらく洒落て見えて。結局、高3から大学までブラックジーンズ一辺倒。当時はインディゴより安く、高くても6000円くらい。バイクのエンジンオイルが飛んでも汚れが目立たないし、コンディションを気にせず“道具”として穿けるのがありがたかった。ブラックの501はこれまで何本履き潰したかわからないですし、今でも好きです。ワードローブにないと落ち着かない、僕の原点です」。

その後大学を卒業し、カメラ業界へ就職するが、ファッションへの情熱が失われることはなかった。
「社会人になりスーツに興味を持ち、『MEN’S EX』などを読みながらドレスを勉強していました。そこで、ドレスクロージングやトラッドへの興味が増していき、憧れを抱くようになりました」。
吉村さんは本格的に「好きなこと」を仕事にするべく転職を決意した。
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