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2025.12.29

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韓国ソウルの“スラム街”3選!今しか見れない、消えゆく風景のリアルを村田らむが解説

 
「日常に潜む社会の闇」とは......
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世の中のアンダーグラウンドに潜入取材をするルポライター、村田らむさん。今回のフィールドは、お隣の韓国ソウルに存在する3カ所のスラム街。いずれも再開発が決まり、消えゆく運命にあるらしいが……。
案内人はこの方!
村田らむ●1972年生まれ。ライター、イラストレーター、漫画家。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海など、アンダーグラウンドな場所への潜入取材を得意としている。キャリアは20年超え、著書も多数。自身のYouTubeチャンネル「リアル現場主義!!」でも潜入取材や社会のリアルを紹介している。

村田らむ●1972年生まれ。ライター、イラストレーター、漫画家。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海など、アンダーグラウンドな場所への潜入取材を得意としている。キャリアは20年超え、著書も多数。自身のYouTubeチャンネル「リアル現場主義!!」でも潜入取材や社会のリアルを紹介している。

僕は15年ほど前から、韓国のスラム街に通っている。ソウル特別市だけでも、大きなスラムが3つほどある。ただ、これらのスラムは近い未来この世から消え去ってしまう運命にある。そうなる前に紹介しておきたい。

① いまや立ち入り禁止。高所にある「白砂村(ペクサマウル)」



まずはソウル中心部よりかなり離れた東北部にある「ペクサマウル」のスラム街から。ペクサマウルとは“白砂の村”という意味だが、104番地の発音が白砂の発音 “ペクサ” と同じことから、そう呼ばれている。初めて行ったときは場所が分からず、近所の人に聞いても誰も知らない。結局、郵便局に行って古株の集配のオジさんに聞いてやっとわかった。大規模なスラム街であっても、あまり知られていないということが驚きだった。
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ペクサマウルにあるスラムは「タルトンネ」と呼ばれる。タルトンネとは“月の町”という意味。とてもオシャレなネーミングだが、「月に手が届きそうなくらい高い場所にある町」という意味だ。つまり高所にある。本来人が住む想定ではない、傾斜の強い場所に作られたスラム街なのだ。



タルトンネは朝鮮戦争の時にできたものが多く、かなり歴史がある。ボロボロの家屋が連なり、瓦礫やゴミや家財道具が適当に積まれている。布やビニールシートの屋根の上には、タイヤやレンガで重しがしてある。日本では見ない規模のスラム街で、胸が震えた。



その名の通り、家々はかなり急な坂に建っていた。冬場で路面はところどころ凍りついているし、自動車がないとかなり厳しいと思う。初めて足を運んだとき、すでに人通りは少なかった。

たまにおばあちゃんがエッチラオッチラ坂を登っているのを見ると、心配になった。ただ、それでもしっかり住んでいる人はいた。家の前に高級車を停めているお宅もあった。家賃があまりかからない分、動産にお金を回せるのかもしれない。



町の壁にはさまざまな絵が描いてあったが、そのレベルは高いとは言い難い。「アートで町おこし」というのが流行ったので、多くのスラム街の壁には絵が描いてある。実際、釜山のスラム街はそれで大観光地になったのだが、ほとんどのスラム街はあまりうまく行っていないようだ。

個人的にはとても好きなスラム街だったのだが、ここは大きなマンションに生まれ変わることが決定している。最後に訪れた時は立入禁止になっていて、警備員がグルグルと見回りをしていた。次来たときはまったく違う風景になっているんだろうな、と覚悟した。
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