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2025.12.19

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今、盛岡ラーメンシーンがアツい! 500円のかけ中華、しおそば、カルボ麺まで、官僚が推す4軒を厳選


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「地方ラーメン激戦県」とは……

盛岡といえば、冷麺・わんこそば・じゃじゃ麺の三大麺料理が存在するが、この3つに負けず劣らずラーメンシーンも深い魅力がある。古き佳き名店からイタリアンなラーメンまで、ラーメン官僚が4軒を実食。

【写真16点】「掘れば掘るほどハマる盛岡ラーメンの世界」の詳細を写真でチェック
案内人はこの方!
かずあっきぃ(通称・ラーメン官僚)●本職は官僚。大学時よりラーメンの食べ歩きを始める。「COWCOWのまるまるラーメン最前線」(BSフジ)、「食楽web」をはじめ、あらゆるメディアでラーメン連載を担当している。年間700杯食べる秘訣は「ラーメン以外を食べないこと」。

かずあっきぃ(通称・ラーメン官僚)●本職は官僚。大学時よりラーメンの食べ歩きを始める。「COWCOWのまるまるラーメン最前線」(BSフジ)、「食楽web」をはじめ、あらゆるメディアでラーメン連載を担当している。年間700杯食べる秘訣は「ラーメン以外を食べないこと」。

盛岡三大麺でも知られる麺文化が根付く都市

今回は、岩手県盛岡市のラーメンシーンをご紹介する。
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盛岡市は、岩手県中央部に位置する県内最大の都市。約27.8万人(2025年10月現在)を擁し、県庁所在地として、岩手県の政治・経済・文化の中枢を担う。

交通の玄関口は盛岡駅で、東京駅からの営業キロは535km。最速の東北新幹線「はやぶさ」で、およそ2時間10分を要する。都心から京都・大阪へ向かう感覚に近く、移動そのものがささやかな旅情を帯びる地点だ。

市域は内陸に広がり、東北地方最大の流域を誇る北上川と、その支流である中津川・雫石川の三河川の流れが悠久の時を刻む。「水の都」と呼ばれる所以だ。遠景には、「南部片富士」と讃えられる岩手山が、街に降り積もる時間を抱きしめるように泰然と聳える。



市内には岩手銀行赤レンガ館、もりおか啄木・賢治青春館、岩手県公会堂といった和洋の美学を宿す近代建築や、盛岡城跡公園、盛岡八幡宮、南昌荘などの名所が点在。ノスタルジーと都市的現代性が交錯する街の情景は、歩みを重ねるほどに奥行きを増し、その懐の深さに幾度も驚かされる。

そんな盛岡の魅力は、風景のみならず「食」にも濃密に刻まれる。わんこそば、盛岡じゃじゃ麺、盛岡冷麺、いわゆる「盛岡三大麺」は全国的にも名高く、観光客の旅程を彩る象徴的な存在だ。

しかし、盛岡の食文化は、それらだけで測り切れるものではない。ラーメンの土壌もまた、極めて肥沃だ。



市内には、老若男女に長く親しまれてきた古き佳き「中華そば」を供する優良店が随所に息づき、ラーメンシーンの基部を支える。これらの店舗で提供されるのは、鶏ガラや豚骨から出汁を採り、魚介の滋味を端正に重ね、丁寧に炊き上げた清湯スープに、細麺または中細麺を泳がせた1杯。日本のラーメンの原風景としての「中華そば」を現在へと伝える、揺るぎのない普遍性を纏う。

「中河」、「たかみ屋」、「直利庵」、「はすの屋」、「正太郎」、「弥太郎」。これらの店舗がその代表格であり、盛岡を初めて訪れるラーメン好きが真っ先に辿るべき“入口”としての地位を保ち続けている。単なる市井の食堂ではなく、地域の味の歴史を現在へと繋ぐ要として、盛岡ラーメンシーンに確かな重心を与えている。これらの店の1杯を食すことは、盛岡の文化を食すことと同義だ。

他方、盛岡は、独創性をも驚くほど柔軟に受け容れる。その象徴的存在が「柳家」だ。看板メニューである「キムチ納豆ラーメン」が全国レベルの知名度を誇る同店は、1975年、「さわや書店」の3階という特異な空間で産声を上げた。同メニューは、初代店主の創意により1980年代に商品化され、2000年代に入る頃には、盛岡のラーメン文化を語る上で必要不可欠な存在へと昇華した。

伝統と革新を峻別し片方を切り捨てるのではなく、両者を併せ呑み地域の魅力へと転化させる。その包容力こそが、盛岡という土地が持つ奥深さの一端だろう。
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