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映画の“モブキャラ”から見えたリアルなアメリカ


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しかし、大学卒業後にメガネ業界で働き始めると、嗜好性は一転する。

「僕が働いていた表参道のお店は接客時、デニムを穿かない方針をとっていました。メガネ店って全年齢のお客様と接するじゃないですか。だからあんまりカジュアルすぎると高年齢層の方にフィットしないという考えからでした。その反動もあったんでしょうけど、とにかく休日はほぼほぼデニムでしたね。

若い頃はパンク好きの影響から細身を好んで穿きましたが、社会人になってからはわりとユルめを選ぶようになりました。
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というのも、20代から30代にかけて、アメリカ映画に出てくるモブキャラのいなたさみたいな雰囲気に魅了されていったんですよ」。




『スタンド・バイ・ミー』や『ET』といった有名作はもちろん、『ファーゴ』や『ビッグ・リボウスキ』といった作品まで食い入るように観た。なかでも矢澤さんは、エキストラに注目していたという。そのスタイルを象徴する一枚として、とある写真集を取り出す。

「Stephen Shore の『American Surfaces』という写真集がすごい好きなんですよ。登場する人々の中にはメガネを掛けている人もいる。ウチではヴィンテージメガネも扱っていますから、それらを日々目にしている僕にとっては、写真のひとつひとつにアメリカのリアルが感じられてグッとくるんです。今でも、’50〜’70年代の様子が伝わる写真集は思わず探しちゃいますね」。

写真集に収められた、ノスタルジックな風景や人々。ヴィンテージアイウェアを扱う矢澤さんの目には、彼らが掛ける眼鏡だけでなく、その服装すべてが魅力的に映る。



「こういう人たちの何気ない格好っておしゃれだなと思うんですよ。人によってはちょっと野暮ったい感じに見えるかもしれませんけど、それがいいなと。この人の掛けているメガネなんて、シュロンのロンサーというブロータイプの眼鏡にすごいよく似てるんですよね。

でも、この人は別にただの銃火器店の店主なんだと思うんです。袖もまくっちゃってるし、真っ赤なネクタイもどこかアンバランス。でもすごく惹かれます」。



「この写真集もそうですし、他の写真集もそう。必ずと言っていいほどジーンズを穿いている人たちが出てくる。しかもかなりの頻度で。すべてリーバイスかは分かりませんが、おそらくかなりの割合でリーバイスを穿いていると思うんです。『絶対に501だな』というアイテムをちょくちょく見かけますから。おそらく多くの人のクローゼットに必ずある。まさにアメリカ史の証人と言っても過言ではないと思います」。


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