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【4人のステージ衣装もチェック!】


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――今日のステージでも、それぞれの“らしさ”が溢れてました。ライブで着る服は、どんな感覚で選んでいますか?

スチャダラ(Bose) 最近僕らとSTUTSくんの“服のフォルム”が近いんですよ。パンツのシルエットとか。これが面白くて。

さまざまな流行を経て、結局また’90年代っぽいサイズ感に戻ってきてるんですよね。昔はタイトな時期もあったけど、今はまた“ゆるくて気張ってない感じ”が自然にしっくりくる。
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STUTS ’90年代のパンツって太めでしたよね。

スチャダラ(Bose) そうそう。俺らも当時は36インチのジーンズとか、ポロチノの太めのやつを腰でキュッと絞ってはいてた。あの“ダボっとした感じ”が、今またちょうどよく見えるようになってきた。昔の服を出してきても「あれ? 普通じゃん」って思える。



――STUTSさんは今日みたいにシャツにデニムを合わせることが多いんですか?

STUTS 実は、そんなにデニムばかりでもなくて(笑)。シャツは多いですかね。サイズ感はいろいろ試した結果、ちょっと大きめ。一番自分の体に合うんです。



スチャダラ(Bose) 大きめのシャツってステージで映えるんだよね。風が当たったときとか、素材感がきれいに出る。“質が良く見える服”って、ライブ衣装の大事なところだと思う。

STUTS 確かに、その感覚はありますね。シルエットと素材だけで、ステージの空気が変わるというか。

ステージ後には私服で登場したスチャダラパーさん。

音楽ライブ「LIVE STOCK - KAWASAKI MUSIC JOURNEY - 」に連動してスペースシャワーがプロデュースする音楽カルチャーマーケット「The Commons」も同日開催されており、ステージ後には私服で登場したスチャダラパーさん。JR川崎駅とアーティスト自身が出品する私物や一点もののアイテム、現在では手に入らないデッドストック品などが並んだ。


――スチャダラパーさんは35年、そしてSTUTSさんは“次世代としてカルチャーを更新する側”でもあります。これからヒップホップをどうつないでいきたいと考えていますか?

スチャダラ(Bose) 何を守って、何を更新していくべきかって、明確な答えがあるわけじゃないんです。でも、例えばSTUTSくんみたいに、昔僕らの音楽を聴いていた世代が、自分の答えとしてシーンを引っ張ってくれている。それが一番うれしいんですよね。

僕らが音楽を始めた頃、日本のヒップホップシーンには先輩と呼べる存在がほとんどいなかったんです。だから、ヒップホップだけじゃなくて、サブカルも歌謡曲も、自分たちが好きなものをそのまま混ぜてきた。気付けば、それがちゃんと文化としてつながっている。今の年代になってより実感します。



STUTS 僕はラッパーではなくプロデューサーですけど、スチャダラパーさんの“スタンスが変わらないところ”はずっと影響を受けています。音楽との距離の取り方とか、生き方とか、そういう部分が引き継がれていくのが理想ですね。

当時は、ヒップホップを聴いている人って本当に少なかったんです。でも今は、当たり前にプレイリストに入ってる。それだけでうれしいし、時代が進んだ証拠ですよね。「ヒップホップだけを聴いてくれ」という話じゃなくて、いろんな音楽の中に馴染んでいる。これからも分断じゃなくて、地続きでつながる未来になったら本当に最高だと思います。


街の風景も、音楽の形も、そして自分たちの年齢も変わっていく。それでも、好きなものを好きなまま続ける人たちがいる。川崎の夜、ステージの上で鳴っていたのは「受け継がれていくカルチャーの音」だった。

Nachos(Naoko Hara)=写真 池田鉄平=取材・文

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