OCEANS

SHARE

名店② 佐野のご当地麺を提供する「青竹手打麺 王神」


advertisement

続いてご紹介するのは、2022年11月にオープンした「青竹手打麺 王神」。場所は、JR北高崎駅から徒歩7、8分程度。

「王神」で提供するのは、「青竹手打麺」の屋号が示すとおり、栃木県佐野市のご当地麺「佐野ラーメン」を、独自のセンスでブラッシュアップさせた1杯。

高崎駅―佐野駅間は、JR両毛線1本でアクセスが可能で、高崎市と佐野市との距離は、実はそれほど離れているわけではない(直線距離で約60km)。このため、高崎市内には、「王神」以外にも、「手打ちらーめん はやぶさ」など、佐野ラーメンを提供する実力店が、複数存在する。
advertisement

群馬県内における一大手打ち麺文化圏は、佐野市に隣接する館林市等の東毛エリア。それは、地理的に自明の理であるが、「佐野ラーメン」の“風”は、群馬県中部の高崎市まで流れてきているのだ。



さて、同店が提供するレギュラー麺メニューは、「醤油らーめん」、「味噌らーめん」、「塩らーめん」と、そのバリエーション。「佐野ラーメン」を手掛ける店舗で、醤油・味噌・塩の3種類を揃える店は珍しい。今回、私は「塩らーめん」をオーダーさせていただいた。

モチっと顎を押し返す強靭なコシが印象深い青竹手打麺は、国産小麦を軸に数種類の粉をブレンドしたもの。風味・すすり心地・舌触りのすべてが申し分なく、クオリティの高さは、まさに本場顔負け。



塩ダレの味わいも、青竹手打麺の麦香を一層引き立たせる塩梅へと調整され、スープ表層を浮遊するゴマの風味も、爽やかな涼風の如く鼻腔を心地良く擽る。スープの決め手は、味蕾を震わせる昆布の優しき滋味。すする度に口内の隅々にまで浸透し、一時たりとも、レンゲを持つ手が止められないほどだ。

食べ始めからスープを飲み干すまでの間、身体は高崎に在りながら、心は完全に佐野の彼方へと飛んでいた。「高崎で本格派手打麺を堪能したい」。そんなニーズに見事に応えてくれる、全国レベルの手打中華だ。
青竹手打麺 王神
住所:高崎市飯塚町154-1
営業:17:30〜L.O.25:00 土日は11:00~L.O. 14:20/17:00~L.O. 21:00
定休:月曜・不定休
X: @OUGAMI_TAKASAKI

名店③ 市民のソウルフードの味を引き継いだ「手打ちラーメン 清仁軒」

次にご紹介するのは、「手打ちラーメン 清仁軒」。オープンは、2017年3月。

1956年(昭和31年)に創業し、高崎を代表する老舗として、長らく老若男女から親しまれてきた名店「清華軒」。その味に惚れ込み、3年以上にわたり同店で修業を重ねた店主・儘田氏が、満を持して開業したのが、此方の「手打ちラーメン 清仁軒」。



なお、儘田店主が研鑽に励んだ「清華軒」も、2016年10月、一度無期限休業へと突入したが、2023年4月、同店の味を未来へと継承したいという方が、クラウドファンディングにより新天地(高崎市箕郷町)で再開させている。高崎市民にとって、「清華軒」の味は、これほどまでになくてはならないもの。まさにソウルフードのひとつなのだ。

そんな「清華軒」の味を受け継いだ「清仁軒」。私は2017年の開業直後に初めて訪問し、その時は「手打ちラーメン醤油」を実食させていただいた。

膨らみのある甘めのカエシ、カエシを支える液状油の質感など、修業元のスペックを忠実に踏襲した1杯は、ソウルフードたるに相応しい歴史の重みを纏い、気付けば丼を空けてしまっていたことをよく覚えている。



そんな「清仁軒」が「塩」にも力を入れているという情報を入手し、幾星霜を経て、ようやく再訪。今回戴いたのはもちろん、「手打ちラーメン塩」だ。

モチっとした食感を最大限演出すべく、絶妙な匙加減で茹で上げられた手打麺の麺肌は、前回訪問時と同様、鏡面の如く滑らか。



鶏と豚の各部位を縦横無尽に活用し、出汁感を極限まで引き出したスープのコクは、例えようがないほど豊潤。「父母ヶ浜の粗塩」を溶け込ませた塩ダレの複雑玄妙なうま味と阿吽の呼吸を奏で、協働しながら麺の風味をキリリと引き立たせる。

丼に彩りを添えるナルトも、昭和ノスタルジーを喚起させる、この1杯に必要不可欠なアクセント。高崎が紡いだラーメンの歴史を、心ゆくまで噛み締めてもらいたい。
手打ちラーメン 清仁軒
住所:高崎市本町117-3
営業:11:00〜14:30、土日祝は〜15:00
定休:水曜日、第1第3木曜日
Instagram:@seijinken_ramen

4/4

次の記事を読み込んでいます。