イタリア人のキットカット観

イタリアのキットカットは、基本的にミルクチョコレートとダークチョコレートが主流。これらは、家庭でもオフィスでも、午後のコーヒーブレイクを手軽に楽しむための定番だ。
イタリア人がキットカットに求めるのは冒険の味ではなく、サクサクとしたウエハースの食感と濃厚なチョコレートによる、安定した満足感。だから、チョコレートの味を変えるよりも、カカオの質やウエハースの焼き加減といった、シンプルな素材が好まれるのだ。

友人のマッテオさんに「日本のキットカットがなぜすごいのか」を説明しようと、彼の近所のスーパーへ連れて行ってもらったときのことだ。キットカットの棚を見た彼は、「うん、これで十分だろう? ほかに何がいるんだ?」と、心底不思議そうな顔をした。
彼にとってキットカットは「チョコ味」か「ちょっとビターなチョコ味」の二択で完結する世界なのだ。この隙間にホワイトチョコも登場することもある。あとはチョコレートに違和感がないようなピーナッツとプラントベースくらい。

イタリアの食文化は、カカオや小麦、ミルクといった素材そのものの質を追求することに重きを置く。だからこそ、キットカットのようなウエハース菓子に、抹茶といった「異素材」のフレーバーが持ち込まれる発想は、イタリア人の常識の中ではありえない。スーパーで働いてる友人のルカさんには、「キットカットは『チョコレート菓子』のカテゴリーに厳密に属して、その枠を超える必要がない」とはっきり言われた。
3/3