連載「The BLUEKEEPERS Project」とは……アウトドアウェアの象徴として知られる「ゴアテックス(GORE-TEX)」が、2025年秋冬シーズンから一般消費者向け製品を全面的にをPFASフリー(有機フッ素化合物不使用)へと切り替えた。防水透湿素材の代名詞が今、新たなステージに立とうとしている。
今回の発表に合わせ、日本ゴアは都内某所でイベントを開催。登山家の竹内洋岳さん、渡邊直子さんをゲストに迎え、「ゴアテックス」を愛用するプロのリアルな声を届けるとともに、製品リペアの実演や本国W. L.ゴア&アソシエイツによる、サステナビリティ戦略の最新プレゼンも披露された。
【写真16点】「『ゴアテックス』が語る“ケアと挑戦”」の詳細を写真でチェック “防水”の常識を変える、環境対応の決断


PFASは水や油をはじく優れた性質から、防水・撥水加工に長年使われてきたが、自然分解されにくく、環境汚染の要因として、国際的に規制が進んでいる。
ゴア社は2018年から段階的にPFAS不使用の撥水剤への移行をスタート。そして防水透湿の核となるメンブレン(膜素材)でも、 従来のePTFEに代わり「ePE(延伸ポリエチレン)」メンブレンを採用した。
この新素材は、従来よりも薄く・軽く、それでいて防水・透湿・防風性能を維持。しかもPFASフリーで、製造時のカーボンフットプリントも削減している。
W. L.ゴア&アソシエイツ ゴアテックス ブランドサステナビリティ・ステークホルダー・エンゲージメント・ディレクターのマリー・マウェさんも登壇。
この転換は一朝一夕ではない。 研究は2014年に始まり、2022〜23年に次世代ゴアテックス製品で、2023〜24年にゴアテックス パフォーマンスプロダクトで採用。そして2025年秋冬、ついに最上位モデル「ゴアテックス プロ」で完全導入された。
つまり、このPFASフリー化は約10年に及ぶ「静かな革命」だ。この経緯については
マリーさんへの単独取材で語られているので、ぜひご一読していただきたい。
会場にはゴアテックス プロダクトのアーカイブも展示された。こちらは初代ゴアテックスダウンジャケット。
南極大陸横断遠征時に使用されたジャンプスーツの実物も。
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