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2025.11.03

ファッション

パラブーツ「ミカエル」、80周年記念モデルが8足一挙ドロップ!全アイテムを大公開


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パラブーツにはマスターピースと呼ばれるモデルがいくつもあるが、その筆頭格が「ミカエル」。自他ともに認める歴史的傑作が今年、80周年を迎えた。みずからアニバーサリーイヤーを祝うべく、周年にちなんだ8足もの特別なモデルを一斉にドロップする。

アニバーサリーモデルのテーマはこれまでの80年を年代で区切り、その10年に特徴的なカルチャーや時代背景を1足1足に落とし込む、というものだ。

【写真25点】「ミカエル80周年記念モデルが世界同時発売!」の詳細を写真でチェック
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1950年代:第二次世界大戦後の実用主義的側面






甲部がキャンバスに置き換えられ、端切れのようなあしらいが。

1960年代:アヴァンギャルド、サイケデリック





ブラック&ホワイトのコンビネーション。レースステイには円状のパーツが。

1970年代:ヒッピー、ボヘミアン





ファーレザーをまとったモンクストラップ。モカにはキルトタッセルをあしらった。

1980年代:パンク





アイレットをスタッズがわりに打ち込んだ。レースステイは3アイレットに。

1990年代:ヒップホップ、グランジ





モカを拝みモカに。甲部に“P”のエンブロイダリー、サイドにくの字のステッチが。ウェルトにはピンキングを入れた。

2000年代:テクノロジー、フューチャー、ポップカルチャー





ハニカム状に開けたメッシュとスエードのコンビネーション。

2010年代:ストリートカルチャー





艶やかなブラックレザーをまとったオールブラックの一足。被せモカのステッチピッチが広くなっている。太めのシューレースも◎。

2020年代:サステナブル、ジェンダーレス





レザー本来の色味を思わせるベージュで染めた。往年の登山靴を彷彿とさせる蛇腹状に袋縫いしたシュータン&カギホックがアクセントに。ウェルトにはピンキングが入っている。

販売は直営の大阪店で11月1日(土)18:00〜、名古屋栄店で同3日(月)18:00〜、青山店で4日(火)18:00〜開始される。タマ数は全37足。1モデル5足に満たない計算。これは貴重だ。それぞれ初日には本国のキーパーソンが顔を揃えるパーティも開催される。

進取の気性が生んだ「ミカエル」

エルメスにはかつて、アザラシのファーをあしらったチロリアンシューズがあった。生産を請け負ったのはパラブーツだった。ベースとなったのが「ミカエル」であり、パラブーツはのちにファー付きのそのモデルを「ミカエル フォック」の名でインラインに投入した。

エルメスが秋波を送ったのは、パラブーツが機能を突き詰めたブランドだったからである。それは古き良きノルヴェイジャン製法を死守するスタンスからも明らかだが、歴史を振り返ればいよいよ疑いようもない事実だ。

パラブーツを擁するリシャール・ポンヴェール社は東にモンブランがそびえ立つ街、フランスはイゾーで1908年に呱々の声をあげた。創業者の名は、レミー・アレクシス・リシャール。

レミーは地産地消を地でいく登山靴づくりで頭角を表す。イヌイットを愛した探検家、ポール・エミール・ビクトールが足下の相棒に選んだのはよく知られた話だ。

転機は1926年。その年、レミーは第一次世界大戦の勝利に沸き立つアメリカへ渡り、ラバーブーツの存在を知る。木靴や革底しかなかった時代にそれは事件といってよいコンストラクションだった。レミーはさっそくラテックスの一大産地であるブラジルとのパイプをつくり、よく27年にはパラブーツを世に送り出した。ブランド名はラテックスの玄関口であるパラ港から採った。レミーには、進取の気性があった。

その慧眼っぷりはラバーソール専業メーカーがほとんど誕生していなかったことからも裏づけられる。先んじて登場したのは1910年に創業したダイナイト一社で、リッジウェイが1930年、ビブラムが1937年、コマンドが1940年と軒並み水をあけられている。

なんといっても見逃せないのはラバーソールを内製している点だ。世界広しといえども、いまなおそのような態勢を築いているシューメーカーはほかにはないだろう。

ろくに仕入先がなかったということもあるが、山深い地に工場を構えるリシャール・ポンヴェール社にとってはそもそも仕入れる、という発想そのものがなかったのかも知れない。そのような不利的要因があっただろうことは想像に難くないが、しかしなによりもラバーソールがこれからの靴づくりにおいて生命線になると踏んだからに違いない。

このラバーソールにおいて素通りすることができないのが踏みつけ部に設けたフィン状の凹凸。コルク(靴底に充填する素材)に代わり、クッション性と通気性を担保する機構だ。

かつて工場を取材させてもらったときに対応してくれた担当者のコメントが振るっていた。

「クラシックな世界ではいまもコルクが最上という。その理由として吸汗性をあげるが、コルクの栓がどれだけワインを吸うっていうんだい?」

時代を超えるポテンシャルを証明したアニバーサリーモデル

「ミカエル」は3代目のミッシェルの生誕を記念して1945年に生まれた――ミカエルはミッシェルのラテン語読みである。1937年にリリースされたチロリアンシューズの「モジーン」をたたき台にしてつくり込んでいった。

名付け親の2代目・ジュリアンは被せモカに入れたピンキングやカウンターを補強する3枚のレザーピースといったチロリアンに特徴的なディテールを取り除いた。いまに通じるミニマルを志向するデザインワークである。時代を超えて愛されるのは当然といえば当然だ。

アニバーサリーモデルは「ミカエル」ならではのアドバンテージにスポットを当てる試みだった。そしてそれは功を奏した。その「ミカエル」は、あらゆるカルチャーが見事に溶け込んでいる。


問い合わせ
パラブーツ青山店
03-5766-6688
https://paraboot.shop/

竹川 圭=取材・文

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