
NY発ブランド「ノア(NOAH)」の環境に対する思いは揺るぎない。
本日から11月3日(月)までの期間、原宿のノア クラブハウスで、Birds Creation主宰のサーフボードビルダー・小玉譲二さんによる「マグロブランクス」のポップアップイベントが開催される。キュレーションは、東京のギャラリーシーンを牽引するINHERIT GALLERYが担う。
【写真9点】「『海とともに生きる』ノアが仕掛ける“サステナブルなポップアップ”」の詳細を写真でチェック サーフカルチャーとサステナビリティの理想的な融合

Birds Creation主宰のサーフボードビルダー・小玉譲二さん
「マグロブランクス」とは、マグロ漁業で使用される保冷用発泡スチロールケースの廃材を、サーフボードのブランクス(芯材)として再生する、実にユニークな試みのこと。一度は海を離れた素材が、再び波に還る。そんなサイクルに胸が熱くなる。
創業当初から海洋環境問題に真摯に向き合い、「サステナブル」と「クラフトマンシップ」をブランドの根幹に据えてきたノアにとって、このコラボは偶然ではなく必然だった。今回のプロジェクトは、その理念を具現化する象徴的な出来事だ。
イベント会場では、マグロブランクスを使用したサーフボードの展示販売を実施。どのボードもハンドシェイプによる一点ものだ。軽やかで美しく、何より“ストーリーを持つ”サーフボードが並ぶ光景は圧巻である。

「マグロブランクス」を手掛ける小玉さんは
ノアが敢行したインタビューにて、自身のクリエイションと環境についてこう語る。
正直に言うとマグロブランクスを始めた当初は海洋問題に対する考えやサステナブルな取り組みをしようという意識はなく、遊びが先行していました。捨てられているものを拾ってきて、「これサーフボードになるかな」とか仲間と一緒に考えて、作って自分で乗ってみて、乗れなくてまた作って……そうやって考えながら手を動かすのがただ楽しかっただけなんです。ほかにも廃校になった体育館の床材や砂浜に打ち上げられた海藻を使ってフィンを作ったこともありましたね。とはいえ、昨今の大量生産に対してはあまり肯定的ではありません。人々の欲求を満たすため、大きな利益を得るために必要以上のものが莫大なエネルギーとともに作られ、売られている。「ものがないなら買えば良い」という意識が世の中のスタンダードになってしまっているのが問題なんだと思います。必要なものがあるなら、作れば良い。「マグロブランクス」も僕が自分にとって必需品であるサーフボードを作りたくて始めたもので、大金を稼ごうとも大きなムーブメントを起こそうとも思っていない。でもやってみたら、自分で作ったもので遊んだり仲間と遊びをシェアするのが楽しくて、今も続けているんです。もし多くの人が、自分の手でものを作る喜びを体験できれば、大量生産に支配された現代のスピード感が少しずつスローダウンして、自然と世の中が良くなっていくのではないか。そんな風に思っています。

小玉さんの言葉には、サステナブルを超えたものづくりの原点がある。楽しむことから始まり、必要なものを自分で作るという姿勢。それはきっと、失われかけた豊かさを取り戻す行為でもあるだろう。
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