海の「テロワール」で生まれる新しい価値

続いて登壇したのは、III Three(アイスリー)代表取締役の森谷悠以さん。世界自然遺産・奄美大島の海底でワインを熟成させるプロジェクト「tlass SEA CELLAR」を手掛けている。ワインで言う土地ごとの味の個性「テロワール」を海に応用する試みだ。
「ワインは貯蔵環境で熟成が進み、温度や光で味わいが変わります。海底熟成は、バルト海で170年海中で熟成されたシャンパーニュが注目を集めたことをきっかけに欧米で話題に。海底では通常より熟成が早まり、長期熟成のような深みが出るんです」(森谷さん)。

岡部株式会社 海洋事業部 ブルーカーボン推進室 課長の須田健太さんも登壇し、藻場再生について補足解説した。
もともとPR事業を行っていた森谷さんがこの挑戦を始めたのは、奄美大島・瀬戸内町の地域活性化に関わったことがきっかけだったという。
「世界有数の美しい海を持つ瀬戸内町に滞在するなかで、地元の方々から近年、海水温が上昇して漁獲量が減り、藻場やサンゴも減少し、高齢化と後継者不足で悩んでいることを聞きました。この事業を通じて、かけがえのない海とそこでの暮らしに貢献したいと考えたんです」。
海底に設置される独自開発のワインセラーには、藻場造成に寄与する構造物を取り付け、ワインの熟成と同時に海洋環境の改善も図っている。
同社の海底ワインセラーには、藻場造成に寄与する構造物を組み込み、ワインの熟成と並行して海洋環境の改善も図っている。「海の底は見えにくく、問題が伝わりづらい。だからこそ、親しみやすいワインを通じて海への関心を高めたい」(森谷さん)。現在は日本各地への展開を目指し、「海のテロワール」をソーシャルグッドとして広げようとしている。
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