
あらゆるカルチャーがクロスオーバーし、多様なスタイルが入り乱れていた90年代。その主要派閥のひとつとして君臨していたのは、紛れもなくHIPHOPファッションだった。
水村さんもその影響を大きく受けたひとりで、若い頃は自他ともに認めるBボーイ。そんな背景ゆえに、アメカジや古着好きとはまた違った視点でリーバイスジーンズと向き合ってきた。
【写真31点】「ビームスTの元Bボーイが愛してやまない5本のリーバイス」の詳細を写真でチェック紹介してくれたのは……
水村幸平(みずむら・こうへい)●ビームス各店でアルバイトを経て正社員に。その後ビームスTへ異動し、店頭に立ちながらVMDやMDも兼任。現在はビームスTのディレクターとして活躍中。音楽とスケートを愛するナイスガイ。
節目ごとに手にしてきた思い出深いリーバイス

90年代のHIPHOPファッションを牽引したのは、多様なアーティストだった。スポーツウェアをまとったRun D.M.C.、きれいめに仕上げたSean Combs、バギージーンズにワークブーツを合わせたWu-Tang ClanやGang Starrなど、多様なスタイルが音楽シーンを席巻し、ストリートを彩った。
そんな彼らに憧れたキッズたちは“Bボーイ”と呼ばれ、ストリートで存在感を放っていった。水村さんもまさにそのひとりだ。

「根っからのBボーイでしたね。ティンバーランドのブーツにラルフのパンツをユルくはくスタイル。もちろんリーバイスの501も持っていましたよ。当時はウエスト38の一本をデカ穿きしていました」。

当時ストリートには独特な風潮があり、水村さんもその影響を受けていたと振り返る。
「リーバイスは、おじさんから女性まで誰もに好まれるイメージでした。ただ、僕の周りでは“王道を避ける”空気があって、僕も大金を払ってスタンダードを買うくらいなら、無名でも尖った新しいブランドを選びたいタイプでした」。
しかし、ビームスに入社すると状況は大きく変わる。

「先輩の多くが王道アメカジ好きで、リーバイスに詳しくないと“そのくらい知っておけよ”と言われかねない雰囲気でした。じゃあ買ってみようと(笑)。アルバイト時代の3年間で、リーバイスの立ち位置やメンズカルチャーにおける意味を徹底的に学びました」。
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