「リセットする2〜3日が、自分には必要なんです」

「シーズン中にも中断期間があって、そのタイミングで2〜3日だけ“完全に解放”することにしています。チートデイは、だいたい年に2回くらいですね」。
普段は節制を意識しているからこそ、その数日は何も考えず、好きなものを自由に食べると決めている。
「試合が終わって、チームメイトと飲んで、次の日にバーガーを食べる。それも含めて“ひと区切り”って感じなんです。別に高級な料理じゃなくていい。僕は、シンプルに美味い肉を食べたいんですよね」。
プロとしての緊張を解くほんの数日が、自分を整えるために欠かせない。クラシックなハンバーガーの向こうには、飾らない素顔があった。

アスリートとして、食事がパフォーマンスに与える影響は大きい。そう語る原選手にとって、食とは単なる栄養補給ではない。
「もちろん体脂肪や体重はコントロールしなきゃいけません。でも僕は、楽しく食べることがメンタル面でも大事だと思っていて。たとえば、試合に勝った日と負けた日では、自然と食べたくなるものも変わるんです。疲れてるときは、あえてジャンキーなものを食べて、気分をリセットすることもあります」。
正しい食事ばかりが、正解ではない。心のコンディションまで含めて整えるのが、食との向き合い方だ。

そんな原選手が、「食事のありがたみを痛感した」と振り返るのが、若い頃の海外遠征だ。
「U24 日本代表で1カ月くらい台湾とかアジアを回った時があって。最初はまだよかったんですけど、途中から脂っこい料理ばかりになってきて、生野菜も避けるようになって……。だんだん食べられるものが限られてきたんですよ」。
結果、思うように体調が整わず、プレーにも影響が出た。いかに「食事」が心身の支えになっているかを実感したという。

今、原選手が一番大切にしているのは、バランスだ。
「僕はフィジーク選手でもないし、常に厳密な計量があるわけじゃない。だから節制だけが正義とは思っていません。多少バランスが崩れても、メンタル的にリフレッシュできる食事が必要なときもある。いくら栄養バランスが完璧でも、気持ちが詰まってしまえば、それもパフォーマンスに影響します」。

「頑張りすぎると、逆に“爆発”してしまう。だから週6で頑張って、1日は“解放日”にする。その方が、結果的に長く続くと思うんです。『この日だけは好きなものを食べられる』となれば、ほかの日の努力も自然と前向きになるかと」。
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