難題に挑戦しないと誰も惚れない

「ディフェンダー」のタグラインは、ずばり「不可能を可能にする」だ。車としてのプロフィールがそれを具現してきたのは、冒頭述べたとおり。またドライバーを未見の場所へと導き、新しい体験を味わわせてくれるという意味でも、不可能を可能にしてくれる車である。

シートのほか、細部にまで上質なレザーが採用され、室内は落ち着いた心地いい空間に。リアシートのフロントには小物置きがありさりげない部分にまで気が利いている。
同じように新しいチャレンジを続け、その作品や仕事で我々を未知の世界へと引き込み、強烈なインスピレーションを残してくれるOSRINさんにこそ、聞きたかった。これまで、不可能を可能にした経験はあったのだろうかと。

「この仕事をしていることです。周囲の誰も、自分がこんな仕事につくとは想像もしていなかったと思うので。
例えば今までやった仕事を100本、過去に持っていったとします。そこで知人に『この100本のうち、どれだけできると思う?』と聞いても……誰も、すべて実行できるよと言ってくれたりしなかったと思うんです」。

そんなふうにOSRINさんは即答してくれた。構えることなく、飾ることなく。

「不可能に挑むときには、徒労も、回り道も、無駄も多いです。いやむしろ、ほとんどが無駄なことかもしれない。自分の仕事を思い返すと実際そうですから(笑)。
『面倒なことをやるよね』と、仕事で関わった人によく言われます。でも普通にできそうな仕事にはロマンがないし、誰も惚れてくれない。不可能を可能にするからこそ、誰かが惚れてくれると信じてます」。
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