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リンは悪者じゃないけど、摂りすぎは“毒”になる

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──ということは、リン=体に悪いもの、という認識でいいのでしょうか。
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いえ、もともとリンはカルシウムと共に丈夫な骨や歯を作る重要なミネラルです。むしろ体にとって必要不可欠な存在なんですよ。

──それなのに“悪者扱い”される理由は?

問題は「摂りすぎ」と「排出できないこと」にあります。とくに腎機能が低下していると、余分なリンを体外にうまく出せなくなってしまう。すると、リンが体内にたまってしまい、そこから老化が加速していくんです。
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──老化とリンに、そんな関係があるんですね。

そうなんです。これまでは、動物の寿命は体の大きさである程度決まると思われていました。しかし、体躯の大きなゾウよりもヒトの方が長生きですし、ウサギよりもさらに体の小さなコウモリの方が長寿だったりします。この違いはなんなのか?

私たちの研究チームは、「体内のリン濃度の差」という推論にたどり着きました。

──なるほど。リンが多いと寿命が短くなる、と。

はい。リン濃度が高ければ、寿命が短く、低ければ長生きする。というのも、リンは体内の濃度が高まると、細胞の「毒」のように体を攻撃することが最新の研究でわかってきたのです。

血中の濃度が高まると、動脈硬化や脳卒中、心臓病といった大病のリスクが一気に加速します。また、尿中の濃度が上がると慢性腎臓病が進行してしまうケースもあるんです。

老化を防ぐ2つの鍵。“リンをためない”ためにできることとは?

──体内のリンを少なくするためには何をしたらいいのでしょうか?

2つのアプローチがあります。1つ目は「腎機能を高めて、リンを排出しやすくする」。2つ目は「そもそも余分なリンを体内に入れない」。この2つを意識するだけでも、かなり違ってきます。

──1つ目の「腎機能を高める方法」について教えてください。

腎機能は、加齢とともに低下していきます。これは万人に起こる老化現象なので、避けることはできません。ただ、腎機能の低下を少しでも緩やかにする工夫はできます。

──どんなことを意識すればいいんですか?

シンプルですが、「適度な運動」と「バランスのいい食事」です。腎機能の低下を加速する最大の原因は「糖尿病」と「高血圧」です。

体重が増え過ぎないようにして、糖尿病の発症や進行を予防したり、野菜をしっかり摂り、塩分量を控えめにし、血圧を上げないことも大切です。またアルコールの摂りすぎも、血管にダメージを与え、腎臓に負担をかけますので、飲みすぎには注意してください。

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──では2つ目「余分なリンを体内に入れない」についてですが、これはリンが多く含まれている食べ物を避けたらよいのでしょうか?

そうです。ただ、私たちが普段口にするあらゆるものに、リンは含まれています。

特にタンパク質の豊富な食材には多く含まれているんです。ならば、リンを減らすにはタンパク質を減らせば良い、ということになりますが、それはおすすめできません。タンパク質をしっかり摂らないと、筋肉が衰えてしまうからです。

──では、どうしたらよいでしょうか……?

そこで大切なのが、食材の選択です。ポイントは「植物性食品中のリンは、動物性食品中のリンよりも、体に吸収されにくい」という事実。

ですから、お肉や牛乳、卵などの動物性食品よりも、大豆などの植物性食品からタンパク質を摂るようにすると良いでしょう。これでタンパク質を減らさなくても、体に吸収されるリンの量を2〜3割減らすことができます。

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──豆腐や納豆はヘルシーで取り入れやすそうですね。肉や牛乳、卵などは健康にいいイメージがありました……。

もちろん、肉は大切なたんぱく源のひとつです。ただ、肉類、とくに赤身肉には多くのリンが含まれていますので、毎日大量に摂るのは避けましょう。

また、牛乳も骨の成長に必要なカルシウムが豊富ではありますが、リンも大量に含まれており、成長期の子供ではない成人が毎日必ず摂るべき食品というものではありません。また牛乳よりリン含有量が少ない豆乳を代替品として取り入れるのもおすすめです。

他にも、アーモンドミルクなどのナッツミルク、オーツミルク、米ミルクなどの穀物由来のミルクは、牛乳よりもリン含有量はかなり少ないです。ただ、添加物としてリンが入っている製品もあるので、やはりパッケージのラベルを見てチェックしましょう。
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