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社会を揺るがす楽曲への反応と賛否両論


新曲『ハイル・ヒトラー』の発表後、世間や業界からは激しい反発の声が上がった。主要メディアや評論家は一斉にこの曲を非難し、その露骨な反ユダヤ主義とヒトラー称賛に対して強い嫌悪感を示した。
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アメリカのユダヤ人権団体である米国ユダヤ人委員会(AJC)は即座に声明を出し、「これは紛れもない反ユダヤ主義であり、まったくもって吐き気を催すものだ」と糾弾。AJCの代表は音楽関係者にも彼を公然と批判するよう呼びかけた。

また名誉毀損防止同盟(ADL)もカニエの度重なる反ユダヤ言動を非難し、「彼の病的なヘイトスピーチは現実世界でユダヤ人に対する暴力を引き起こしている」と警告した。ADLの報告によれば2022年にカニエが一連の反ユダヤ発言を始めたあと、全米各地で「カニエは正しい」と掲げる極右団体の出現や、ユダヤ人コミュニティへの脅迫的な事件が少なくとも30件発生したと言われている。

イギリスのユダヤ人団体「反ユダヤ主義対策キャンペーン(CAA)」も同様にカニエのアカウント停止を求め、音楽業界内でも彼との関係を見直す動きが出ている。実際、音楽エージェントの一人はカニエとの契約を打ち切ったと表明した。
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商業的な影響も直ちに現れた。韓国・ソウルでは今年5月末にカニエのリスニング・パーティが予定されていたが、『ハイル・ヒトラー』のリリースによる批判を受けて主催者が公演中止を決定。このパーティには日本人ファンのチケット購入者も多かった。

一方で、カニエの過激な表現を擁護・支持する動きも一部で見られた。米人気ポッドキャスターのジョー・ローガンは自身の番組でこの曲について言及し、楽曲のサウンド面を称賛したほか、曲を禁止すれば「カニエが言っている『ユダヤ人について話すとすべてから締め出される』という主張を裏付けてしまう」と発言した。

ローガンは「もし曲を排除すれば彼の言う“陰謀”を証明することになる。銀行からも締め出されるって彼は言ってるけど、彼ら(ユダヤ人)が何もかも支配しているんだ」と語り、曲への検閲には反対の姿勢を示している。

さらに、カニエと行動を共にする白人至上主義者のニック・フエンテス(2022年にトランプ元大統領との会食に同席して問題視された人物)も曲を熱狂的に称賛している。

このように、ごく一部ではあるが「表現の自由だ」、「タブーに斬り込む芸術だ」といった擁護の声も存在し、曲の過激さ自体が支持者にとってはカリスマ性の証と受け取られている側面もある。
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