妻たちの“沈黙への怒り”。その本音とは?
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—―妻側の心理をもう少し深掘りしていきたいのですが、実際のカウンセリングでは、どんな声が寄せられるのでしょうか?「夫が無言すぎて、何を考えてるか分からない」という声が圧倒的です。昔はもっと話してくれたのに、今は何も返ってこない。その変化に強いストレスを感じている方が多いです。
—―会話が減るほど、誤解も増えそうですね。ええ。妻の中には期待通りの言葉や態度が得られないことに対し、「普通ならもっとちゃんと返してくれるはず」という思い込みもある。この自分の中の“普通”が夫には通じていないことが、さらに不満を生むんです。
無言やリアクションのなさは、無意識の“甘え”や“軽視”でもありますよ。妻からすると「馬鹿にされている」「舐められている」と感じ、イライラの元になるんです。毎回ニコニコ愛想よく答える必要はありませんが、自分がされて嫌じゃない対応は心がけてほしいですね。
—―なるほど。心のどこかで、妻だから許されると思っちゃってるのかもしれません。その「察してくれよ」は、かなり危険なんです。「察してくれよ」「疲れてるんだよ」みたいな態度も、妻からすると“ずるいバリア”に見える。「私が何か言うのが悪いの?」と、逆に責められてるように感じてしまいます。
—―夫にとっての「疲れてるから……」は「説明」のつもりでも、妻には「言い訳」に変換されて聞こえてしまうんでしょうね。そう、その認識のズレこそが夫婦トラブルの温床です。さらにエスカレートすると、「じゃあ何が正解なの?」とか「そんな言い方されたら家にいたくなくなる」など、逆ギレする夫もいます。これはもう、地雷を踏みにいってるようなもの。“正解”を探そうとしたり、“正論”で終わらせようとするのではなく、“共感”です! 何度も言いますが、これを徹底しましょう。
解決の秘訣は「具体的に」「確認しながら」
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—―どうすればこのすれ違いを防げるのでしょうか?
ポイントは、妻の「リクエスト」と夫の「確認」です。
まず妻側からは、「言ってほしい言葉を具体的にリクエストする」のが効果的です。たとえば「今日はありがとうって言ってもらえるとうれしいな」とか、「アドバイスはいらないから『よく頑張ったね』って言ってほしい」と伝えるだけでも違います。
愛情表現に関しても、「私のこと好き?」と聞く代わりに、「私のこと大好きって言って」とお願いするのもいいでしょう。可愛げも出ますし、お互いに嬉しい気持ちになれますよね。
—―それって、言わせてる感があって逆効果にならないんですか?そう思われがちですが、実際やってみると心に響くんです。棒読みでも、口に出すだけで相手に伝わります。気持ちは、言葉にしないと伝わらないんです。
—―なるほど。たしかに、“具体的に”伝えてくれないと理解できないシーンってたくさんあります。そうですよね。「ちゃんとして」じゃ伝わらない。たとえば、「皿洗い」は“洗って拭いてしまう”まで、といったように、具体的な行動単位で伝えることがベストです。
そして夫も、妻の指示が分からないときは「教えて」というスタンスで臨み、行動する前に「確認」することが重要です。「これ片付けていい?」「このやり方で合ってる?」と確認するだけで、妻のストレスはかなり軽くなります。
夫婦は“チーム”ですから。お互いに声を出し合って確認し、協力することが大切なんです。
—―サッカーやバレーみたいに「声かけしながら連携する」って感じですね。まさにそれです。育児中は特に、連携プレーが必須。お互いの行動を「ありがとう」「助かったよ」と言葉でねぎらえる関係こそが理想だと思います。
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後編では、妻の機嫌がみるみる良くなる、 “家庭用フレーズ”の具体例を紹介する。心当たりのある人は、夫婦関係が手遅れになる前に、今こそ実践すべし!