「どう生きるか」が、すべてのベースにある

――池松さんが考える「いい仕事」と「いい暮らし」は、どう結びついていると思いますか?仕事と暮らしは、切っても切り離せないものだと思います。さらに「いい仕事」と「いい暮らし」は、人によって価値観やサイズ感があるもの。“自分にとっての快適なサイズ”を知るのが大切だと思います。
僕の場合は、「どう生きるか」ということが全部のベースにある気がしていて。こんな自分でありたい、こんな仕事をしていたい、こんな暮らしをしていたい、というビジョンは、どう生きるかにすべてつながっている。
何者かになりたいではなく、こういう自分でありたいという思いが、仕事も暮らしも決めてくれているように感じます。
――池松さんご自身は「今、どう生きたい」と思っていますか?さまざまなことが絡み合っているので、かなり難しいんですが、楽しく生きていたいです。楽しく仕事をして、熱中できる作業を楽しみ、なぜ働くのかを理解してさえいれば、幸せな日々が送れると思います。
苦労はたくさんありますが、僕は何より映画作りが好きで、もはや信仰しているレベル。今、自分に与えられていることに感謝して、分かちあって、働いて、幸せを感じて生きていたいです。
――池松さんはプライベートで「こういう時間が心地よい瞬間」ってありますか?いやあ……本当にないんですよ、そういうの(笑)。趣味もないですし。仕事が苦にならないので、趣味に走ることがありませんでした。
あ、でも誰もが感じる日常にある些細なことが自分にとって心地よい瞬間です。家でコーヒーを飲んだり、仕事終わりにビールを飲んだり、お風呂に浸かったり、ベッドに入って1日の終わりを感じたり。
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