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「それでも、誰かを助けたい」名もなきヒーローから学んだこと

――撮影中、実際にDMATの医師の方々と接する機会もあったそうですね。
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© 2025「フロントライン」製作委員会

© 2025「フロントライン」製作委員会


はい。撮影時は能登半島地震が起こり、大変な時期でした。それでも合間を縫って、実際にあの船に搭乗した先生方が交代で現場にいてくださったんです。本当に頭が下がる思いでしたし、船内で何が起きていて、どのような心境だったのか、いつでも直接お伺いできたことは大きな助けとなりました。

皆さんが口を揃えて「大したことはしていないです」と謙遜されていたことが印象的です。恥じらいと矜持が入り混じったその言葉に、清々しいまでの真っ直ぐな善意を感じました。

そうした先生方の姿勢から感じるものを、真田という役にできる限り反映させていきたいと思っていました。
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――“ただ助けたい”という思いが原動力だったんですね。

とある先生が、「後先のことを考えていたら、お医者さんなんてできませんよ」と教えてくれたんです。その澱みのない心は、まさに“名もなきヒーロー”でした。

――DMATの方々との出会いは、真田という役柄にどう影響しましたか? 

© 2025「フロントライン」製作委員会

© 2025『フロントライン』製作委員会


真田は、いわゆる“完璧なヒーロー”ではありません。悩み、迷いながら信念を貫いて働く人でした。そこに人間性への可能性を感じたんです。

はじめから美しい人はいないと思います。正しく、誠実であろうとする姿こそが美しい。与えられた使命を受け入れ、それに正しく答えていく姿が、実際のDMATの皆さんと重なって見えました。

たった5年前に実際に起きた事実を元にすることで、フィクションにはない重みと迫力が宿る。想像を超えるような彼らの姿を、偽りなく演じることが自分の使命だったように思います。

――映画を観て「こんな人たちが本当にいたんだ」と思えることに、希望を感じました。

僕のいとこに医学部6年生の女の子がいるんですが、進路選択の時期に将来の不安などから「なるべく稼げるところがいいよな」と悩んでいたんです。

そんな彼女がこの映画を観てくれて「医者になることの原点を思い出させてくれてありがとう。人道的なお医者さんを目指すね」ってメールをくれました。

それを聞いて、この作品に関われて良かったなと心から思いました。
4/5

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