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自身と同じ時を刻んできた“ロクロク”

その後、森さんはあらゆるファッションを吸収していくわけだが、それでもワードローブにはリーバイスがあった。それは今も変わらず、中でも活躍しているというのが6本のジーンズだ。
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まず手に取ったのはこちら。今となっては、数十万円はくだらない稀少な1本だが、森さんは気負わずにはきこなしているという。


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「高校生の頃はレギュラーのUSA製501が3800円、赤耳が7800円で売っていたのですが、“ロクロク”も同じプライスに混ざったりしてたのでよく“掘って”いたんですよ。これは、10年ほど前に購入して、今でもよくはいている1本。1975年製の“ロクロク”前期モデルで自分と同い年っていう(笑)。だから思い入れもひとしおですね」。

革靴に似合うフランス製ホワイトデニム

続いてはこちらのホワイトデニム。メイド・イン・フランスのリーバイスだ。



「思い返せば、映画や服が好きな母からフランス製の良さを教えられたのかも。幼い頃からアラン・ドロンの代表作『太陽がいっぱい』を観て、グルノーブル冬季五輪をテーマにした記録映画『白い恋人たち』のサントラ曲を聴いて育ちました」。

その後、60年代フランスのヌーベルヴァーグカルチャーやスタイルカウンシル時代のポール・ウェラーなどに感化され、フレンチカジュアルに傾倒。その頃、よく足を運んでいたのがシーンを牽引していたエディフィスである。



「きれいにセンタープレスしたダントンのフランス製ワークパンツに、エドワード・グリーンのイギリス製の革靴。トップスはフライのイタリア製シャツにジョン・スメドレーのイギリス製ニットを重ね、首元にエルメスのスカーフをさりげなく。エディフィスのスタッフの着こなしが本当にカッコ良くて。その方たちへの憧れがあって、僕は26歳のときにエディフィスで働き始めたんです」。



当時のエディフィスは“アメリカものもアメリカらしく着ない”という考え方があった。そこで培われた感覚は森さんの礎になっている。

「フレンチスタイルって、フランスのブランドを組み合わせることではなく、アメリカやイギリスのものでも合わせや着こなし方によってフレンチだよね、という精神性や概念で成り立つスタイルだと思うんです。なので、このフランス製の501=フレンチスタイルってことではないんです。でも、アメリカブランドなのにフランス製、みたいなのに出合うとつい買っちゃうんです。

ちなみにこのホワイトデニムは30代で手に入れたもので、裾の始末を見てください。アメリカ製の501と比べると明らかに折り返しの幅が違うんですよね。ホワイトの方が太い。これがフランス製501の特徴で、これをはくと気分は80年代のポール・ウェラーです(笑)」。

たしかに一般的なリーバイスのデニムと比べて違いがある。しかも、チェーンステッチではなくシングルステッチだ。



「スラックスっぽくてほんのりエレガント。こういうところにフランスらしさを感じますよね。革靴と合わせても品良くキマります。裾上げせずジャストサイズにはける点も、僕にとっては魅力的です」。
3/5

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