数々の自動車レースを勝ち抜いた伝説のブランド
その本格派の欲求を満たすJCWのルーツは、1960年代に遡る。
レーシングカーデザイナーでありエンジニア、またレーシングカーコンストラクター、クーパー・カー・カンパニーの共同創設者でもあるジョン・クーパーは、誕生したばかりのMINIを見て驚いた。ハンドリングの良さと操縦の安定性が抜群だったからだ。MINIの性能に大きな可能性を見出し、スポーツモデルの販売を提案したことがその始まりだった。
クーパーは従来のやり方に縛られることなく、よりパワフルなエンジン、よりシャープなステアリング、そしてより鋭いブレーキをMINIに採用。そうして61年、初代「MINI Cooper」が誕生したのだった。
当時はセダン全盛の時代。ライバルたちがストレートで速さを競うなか、MINI Cooperはコーナリング性能を武器に、パワーで勝るセダンを凌駕。64年、65年、67年とモンテカルロ・ラリーを制覇するなど、数々のレースで猛威を振るい、自動車業界に大きな衝撃を与えた。
「JCW RACING NIGHT presented by MINI」の会場に展示された1964年モンテカルロ・ラリーを制覇したMINI Cooper Sのレプリカ。
時は流れて2002年。ジョン・クーパーの息子、マイケル・クーパーが父の意志を受け継ぎ、レース部門ブランドとしてJCWを設立、チューニングパーツの販売を開始した。そして、再び自動車業界を驚かせた。ジョン・クーパーの伝説そのままに、12年から15年まで、ダカール・ラリーで4度の総合優勝を果たしたのだ。
その後、JCWモデルのクルマが販売されるようになり、20年には「MINI John Cooper Works GP」が公道走行を認められた“MINI史上最速モデル”として登場。JCWはレーシングヘリテージを継承する、MINI最高峰のハイ・パフォーマンス・モデルなのだ。
新型JCWは、そうした革新と技術が込められたレーシングヘリテージを継承する。24年10月にワールドプレミアを行うと、日本でも同月、ガソリン車モデル「MINI John Cooper Works」「MINI John Cooper Works CONVERTIBLE」を発表。今年2月にはバッテリーEV(BEV)モデル「MINI John Cooper Works E」と「MINI John Cooper Works ACEMAN E」も発表した。
左:「All-Electric MINI John Cooper Works」、右:「MINI John Cooper Works」 MINIの伝統を色濃く受け継いだ3ドア。電気自動車モデルでもハイ・パフォーマンスを約束する。
左:「All-Electric MINI John Cooper Works Aceman」、右:「MINI John Cooper Works Countryman」。「Countryman」はMINI史上、最大で最速モデル。その電気自動車モデルも今年2月に日本に上陸した。
MINI JCWとMINI JCW EはMINI COOPER 3 DOORがベースになっており、伝統的な丸いヘッドライトがアイコニックだ。また、今回初登場したBEVのJCW、MINI JCW E はMINI COOPER 3 DOOR、MINI JCW ACEMAN EはMINI ACEMANがベースとなっている。
新型JCWでまず目につくのは、新たにデザインされたエンブレムだ。それは、MINIの中でも最高峰のドライビングパフォーマンスを約束する証。多くのスポーツカーが日本の公道では本来のパフォーマンスを発揮できないなか、最も過酷な公道レースと言われるモンテカルロ・ラリーで鍛えられたモデルを現代に継承するMINI JCWは、日々のドライブにスリルを吹き込む。
ドライバーのステアリング、アクセル、ブレーキ操作に対して車体がダイレクトに反応する「ゴーカート・フィーリング」により、街中をスリリングに駆け抜けることができるのだ。
BEVでも伝統に違うことなく、走りを追求している。Eブースト機能が搭載されており、停止状態からの発進やよりパワーが欲しいシーンでそれを作動させ、アクセルを踏み込むと、追加で約20kW/27ps* のパワーが10秒間供給。発進時や追い越し時などに、高加速ドライビングの楽しさを提供する。
*最高出力(190kW)はEブーストを含んだ値。
電気自動車モデルではステアリングに付随する赤いボタンがEブーストの起動スイッチとなっている。
足回りにもこだわり、JCW専用チューニングが施されたJCWスポーツ・サスペンションを採用。正確なハンドリングと卓越したレスポンスを実現している。さらには、特別に調整されたスプリングやスタビライザー、ダンパーによって、最適な安定性を保証。また、前輪のキャンバー角を大きくすることでハンドリング性能が高められ、コーナリングのグリップ性能が向上している。
JCWでもカリスマティック・シンプリシティのコンセプトが貫かれている。インテリアは、コンポーネントの数を削減することで走りの本筋にフォーカスし、感情的かつ直感的に感じ取れるアイデンティティが植え付けられている。
一方で目を引くのは、新型MINIシリーズにも搭載されている、直径240mmの大型円形センター・ディスプレイだ。統合されたインフォテインメントと空調機能などをスマートフォンを操作するように直感的に操作することができる。伝統を引き継ぎながらも、未来を感じさせる車内空間となっているのだ。
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