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弁当文化とともに進化した日本の冷凍食品 

そして、日本の食への意識の高さも関係していると思う。日本人にとって、食は単なる栄養補給ではなく、心を満たす大切なもの。だからこそ、冷凍食品に対しても品質や味へのこだわりが半端じゃない。妥協しない「食」への姿勢が、冷凍食品にも表れている。
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日本全国に広がる冷凍食品の秘密は進化の歴史にある。日本では、1920年代に水産物の冷凍から本格的な食品冷凍が始まったようだ。初期の冷凍食品は、今のような調理済みのものというより、鮮度を保つための技術だった。

そして、1930年には日本初の市販用冷凍食品として「イチゴシャーベー(冷凍いちご)」が誕生したそう。これはイタリアにはない、面白い発想。イタリアでは、冷凍イチゴは主にジャムやデザートの材料として売られているけど、そのまま「シャーベー」として食べるというのは斬新だ。


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戦後は食料不足で冷凍食品の需要が高まり、冷蔵庫が普及し始めると一般の家庭にも広まっていった。特に、1960年代の東京オリンピックや1970年の大阪万博で大量調理に冷凍食品が活用されたことが、その後の普及を後押ししたようだ。イベントを通して、その便利さと品質が広まっていったのだ。

日本の冷凍食品の進化において、「自然解凍」と「お弁当用」という発想は革命的だったと思う。イタリアでは、冷凍食品は基本的に加熱調理が必要なものが多い。冷凍庫から出してそのままお弁当箱に入れれば、お昼には食べ頃になっているなんて、信じられない魔法のようだ。



忙しい現代の日本人のライフスタイルに合っていたからこそ、ここまで広まったんだろう。共働き家庭の増加や、食の時短ニーズが高まって、「時間を節約しつつ手抜きに見えない」という日本の冷凍食品は、もうスーパーヒーローだ!

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