日本の漁業とつながり、能登地震でも支援に動いたパタゴニア
ネットプラスを手がけるブレオ社は、2022年にアメリカ大陸以外で初めて、日本とパートナーシップを結んだ。日本の漁網リサイクル会社「エランゲ」がネットプラスの存在を知り、パタゴニア日本支社に何度もコンタクトを取ってきたのだという。そのやりとりのなかで、日本支社が仲介役となり、正式な提携へとつながった。
「ブレオ社は、パタゴニア本社の投資会社『ティンシェッド・ベンチャーズ』の支援先であり、基本的な取引もアメリカ本社を通じて行われています。そのため、直接つなぐには少し時間がかかると判断しました。
そこで、私がエランゲの関代表からお話をうかがったうえで、ブレオ社に投資している豊田通商の担当者に紹介をお願いしたんです。その数カ月後、日本で開催されるサステナブルエキスポに、ブレオ社の創業メンバー3人のうち2人が来日することになり、その場で両者を引き合わせました。
すると、漁業コミュニティに寄り添うという共通の理念が合致し、意気投合。その場でパートナーシップの締結が決まりました。社会的な使命と明確な目的を持ち、地域の漁業コミュニティと直接つながりながら漁網を回収していたエランゲの姿勢に、ブレオ社の創業者たちが深く感銘を受けたことが大きかったんだと思います」(篠さん)。

そして2024年、能登半島地震が発生。エランゲは被災地の漁師たちが漁に出られず困っていると知り、パタゴニアに相談を持ちかけた。
「漁師の方々に、漁に出られるようになるまでの間、仕事を提供できないかという話でした。そこでエランゲが網と作業場所を確保し、パタゴニアは作業する方々の給料の原資を提供することにしました」(篠さん)。
こうして始まったのが、「ネットプラス・ノト」プロジェクト。石川県漁協の協力で倉庫を確保し、裁断作業が本格的にスタート。地震から2カ月足らずでのスピーディな動きだった。

「災害時の支援はさまざまな形がありますが、私たちは現場の人々にとって“役立っている”と実感してもらえる支援を大切にしています。今回はその姿をしっかり可視化できた意義も大きかったです」(篠さん)。
“故郷である地球を救う”というミッションを掲げるパタゴニア。その理念のもと、目の前の危機にどう向き合うか、どう関わるかを常に考えている。
ネットプラスという素材が、海洋保護のみならず、漁業従事者の支援、災害復興にもつながる——その実例が、今回のプロジェクトで証明された。
「ダックビル・キャップ 」5280円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)
「メンズ・アウトドア・エブリデー・パンツ 」1万8150円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)
「メンズ・アウトドア・エブリデー・ショーツ 6インチ」1万3200円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)
なお、ネットプラスを用いたパタゴニア製品は現在、帽子のつばから始まり、バギーズ・ショーツやレインジャケットなど100アイテムを超える。2025年春夏シーズンには、ナイロン製品のうち43%がネットプラスを使用する予定だ。
リサイクル素材の新たな選択肢として、そして海洋保護の未来を切り拓く存在として、ネットプラスの可能性はますます広がっていくに違いない。