アッパー・パターンは往時のそれを採りつつ、もとよりミニマルだったデザインに磨きをかけた。具体的にはビスネームやアルミニウム製アイレットのエンボス・ロゴを排除した。
ヒールパッチのロゴもオリジンをかたちにしている。“Superga Tennis Extra, Made in Italy”という文言は創業者のウォルター・マルティーニが自ら練り上げたものだ。


インソールは数年前にリリースした「2750 OG」を引き継いだ。人間工学に基づいたアーチ構造によりクッション性を向上させているが、表面に描かれたグラフィックは古き良き姿をとどめている。
フォクシングテープにファッジホイールで刻みを入れている。この工程に限らず、「スペルガ 1925」は手仕事が多用される。

フォクシングテープは厚く、ファッジホイールで一つひとつ、刻みを入れている。テープからはみ出す糊も忠実に再現しているというから芸が細かい(あの時代の荒っぽいものづくりの演出だ)。バンパーのダイヤモンド・パターンもまた、オリジンに倣ったものである。


アウトソールは現行品でもおなじみのオレンジピールソール。オレンジの皮の色に似ていることからその名がついた。


しかしなんといっても見逃せないのはイタリアでつくられたバルカナイズということだろう。製造を担ったのは知る人ぞ知る南イタリアのファクトリー。ノスタルジーを感じさせる面構えは、工業化の過渡期にあった、手仕事がまだまだものをいった時代のプロダクトを想起させる。
トリノにあった自社工場は二度の大戦で焼失、現在はベトナムのファクトリーが一手に引き受けている。すなわちおよそ80年ぶりとなるMADE IN ITALY――ということになる。
製造を担当したのは知る人ぞ知る南イタリアのファクトリー。写真はバルカナイズ製法の窯。
「スペルガ 1925」は4月22日、世界限定1000足で発売を開始した。残念ながら日本に送られたタマ数は多くはない。
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