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「俺がやらなきゃ、誰がやる」

最後に聞いてみた。
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「那須川天心が、人生で最も高揚感を感じる瞬間とは?」。



「やっぱり、戦っている瞬間ですかね」。そう即答した天心が、続けて口にしたのはピンチにある楽しさだった。
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「この間のモロニー戦。やばいかも……って思った瞬間、俺がやらなきゃ、誰がやるってスイッチが入ったんです。競技的に見ればリスクかもしれない。でも自分のなかでは、『どこまでいけるんだろう?』ってワクワクしてた。あれは、本当に楽しかった」。

窮地を楽しめる強さ。ピンチを、可能性と捉えられる思考。それが、那須川天心という選手であり、那須川天心という人間の本質なのかもしれない。

ベルトよりも、「那須川天心」として

現在、日本人4人が世界王座を独占するバンタム級。そのなかで、天心はWBC世界ランキング1位に名を連ねている。2025年下半期には、いよいよ世界戦への挑戦が現実味を帯びてきた。日本中の期待が高まるなか、彼は熱狂に流されることもなく、いつもの口調で静かに語る。

「特別な意気込みはないです。今まで通り、自然体で、淡々とやるだけ。ベルトがあるから強いんじゃなくて、『那須川天心だからすごい』そう思ってもらえるように、今をちゃんと生きていたいんです」。

彼が自分を表すとき、使う言葉がある。



「“今系男子”って、自分で言ってます(笑)」

どこまでも、今に生きる。今の自分を、今日の自分を、明日の自分で更新し続ける。勝っても、負けても。評価されても、されなくても。

「僕は、ただ“今”を積み重ねていくだけです」。
那須川天心⚫︎1998年8月18日生まれ、千葉県松戸市出身。身長165cm、体重55kg。帝拳ボクシングジム所属のプロボクサー。

5歳で極真空手を始め、小学5年生でキックボクシングに転向。2014年、15歳でプロデビューを果たすと、その圧倒的な実力で数々の王座を獲得。無敗のまま“神童”と呼ばれ、キック界を席巻した。2022年6月、日本格闘技史に残る一戦『THE MATCH 2022』でK-1王者に勝利し、キックボクシングに別れを告げる。翌2023年、正式にボクシング転向を表明し、4月のデビュー戦で日本ランカーを下して鮮烈なスタートを切った。

2024年10月、WBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦に勝利し、ボクシング転向5戦目で初タイトルを獲得。さらに、2025年2月には元WBO世界王者ジェーソン・モロニーとの大一番に判定勝ちを収め、WBC世界ランキング1位、IBF世界ランキング4位にランクイン。ジャンルを超えて進化を続ける“挑戦者”は、今、世界の頂点へと歩みを進めている。

試合情報
Prime Video Boxing 13 那須川天心 世界前哨戦 

6月8日(日)有明コロシアム 
プライムビデオで独占ライブ配信予定

佐藤ゆたか=写真 軍記ひろし=試合写真 池田鉄平=取材・文

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