「次の方が絶対いいものができる」──終わらない自己更新

2月24日、有明アリーナ。天心は、元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニーとの一戦に挑み、判定勝利を収めた。
これまで「もらわないスタイル」で知られてきた天心だが、この日は違った。鋭い一発を浴び、ダウン寸前に追い込まれる場面も。それでも、彼は自ら足を止め、正面からの打ち合いに応じた。
「毎回、全力で“今の自分”を出してます。でも、納得しちゃったら、それで止まっちゃう。次のほうが、もっといい。そう思えるから、自分は続けられるんだと思います。たぶん、絵描きが“次の一枚こそ最高傑作”って思いながら筆を動かすのと、感覚はすごく近いです」。
完成は目指さない。理想の100ではなく、“今”を積む

「理想のボクサーに、どれくらい近づけていますか?」。そんな問いに、天心は肩の力を抜いたように答えた。
「ボクシングに関しては、まだ30%くらいですね。ようやく“型”ができてきたかなっていう段階。リズムとか、対応力とか、まだまだです」。
2年という短い時間で、世界ランク1位まで駆け上がった男の言葉とは思えないほど冷静だ。
「僕って、毎回スタイルが違うんです。動きを変えて、常に進化してる。見てて面白いと思うし、自分でも伸びしろしかないって思ってます。
理想を持ってないんですよ。今が常にマックス。そのマックスを、毎日ちょっとずつ更新していく感じ。昨日より今日、今日より明日。だから、振り返ることもほとんどないです」
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