OCEANS

SHARE

「エシカル・ノン・モノガミー」とはなんぞや?

モノガミーとは、一夫一婦制、私たち日本人が一般的と考えている夫婦やカップルの形である。「単一」を意味するモノ=Mono、という単語から来ている言葉だ。
advertisement

それに対してポリガミーとは、一人が複数と結婚する関係性、日本でも昔あった正室、側室など、複数の「妻」と婚姻関係がある状態や、現代でもイスラム圏の国やモルモン教のコミュニティなどに見られる一夫多妻制などを指す。

また、ポリアモリーとは、複数のパートナーを、優劣をつけずに平等に愛する状態もしくはコンセプトを指す。複数の相手と付き合うという意味では不倫や浮気と同じなのでは?という疑問が湧くが、ポリアモリーの場合は、関係するすべての人に状況をオープンにして、合意の上に複数と関係を持つという点が異なる。ポリ=Poly、「モノ」に対して複数の、という意味だ。

そして、ENMとは、エシカル・ノン・モノガミーの略である。関係している人たちの合意をもって(=エシカル(Ethical)、倫理的な、道徳的に正しい)複数人と同時進行で恋愛や関係を持つこと、を指す。解釈にもよるのだが、ENMの中に、ポリアモリーやオープンリレーションシップも含まれる、という味方が一般的なようだ。
advertisement

https://www.reddit.com/r/polyamory/comments/pen0by/non_monogamy_as_a_diagramより

https://www.reddit.com/r/polyamory/comments/pen0by/non_monogamy_as_a_diagramより


では、ENMの一つである「オープンリレーションシップ」とは何か。一番優先度が高い人をお互いだと認識した上で(例えば結婚している夫婦やお互いをボーイフレンド、ガールフレンドと認めているカップル)、お互いフリーに、相手以外の人と性的な関係を持ったりデートをしたりするコンセプトだ。

この関係性で特筆すべきは、ポリアモリーとは違い、特定の組み合わせが一番優先されるということ。例えば長年結婚している夫婦が、夫婦関係は継続したいけれども性的なパッションが失われているので、心理的、また夫婦としての法的な結びつきは担保したまま、結婚(もしくはカップル)の枠組みを超えて他の相手とデートしたり性的関係を持ったりすることを指す。カップルにもよるが、この場合は、枠組み外の相手に対して恋愛感情を持つことを良しとしない場合も多いようだ。

筆者の所感としては、新しい考え方ではあると思うけれども、都合の良いコンセプトだな(とくに夫婦関係「外」の存在として、恋愛感情は夫婦間で担保されてしまっている場合)、と思う。ただ、そういった割り切った関係のみを求めている同士であれば、うまくウィンウィンの関係として成立することもあるのだろう、と想像する。

Getty Images

Getty Images


個人的には、恋愛相手を探すときに、その人がストレートなのかゲイなのか、はたまた結婚しているのか彼氏彼女がいるのか以外に、その人がどういったスタンスの関係を求めているのかをより細かく把握したり質問したりしなければならないことに関しては正直めんどうなんじゃないかと思う。

阿吽の呼吸ではなく、スタンスを事細かく確認することは事務的でロマンティックさが薄まる、と感じるのは筆者の残り少ない乙女心か……。一方で、何事もコンセンサスやハラスメントにならないかが問題となる時代で、必要なチェック項目であるともいえるかもしれない。

米国発のマッチングアプリでは、選択肢に「カジュアルな関係」「ENM」も

マッチングアプリや結婚相談所では、相手に求める項目を羅列するわけなので、その中に、とくに「結婚」という目的に限定していないアプリの場合、どういう関係性を求めているかという項目を含めるのは効率的だ。

例えば、アメリカの会社が運営するマッチングアプリBumbleのプロフィールでは、自分が希望する関係を(1つもしくは2つ)選ぶことができる。

例:
長期的な(真剣な)関係:A long-term relationship
楽しい、カジュアルな関係:Fun, casual dates
結婚:Marriage
コミットメントなしの親密な関係(割り切った関係):Intimacy, without commitment
人生のパートナー: Life partner
ENM:Ethical non-monogamy

カジュアルな関係から、結婚、エシカル・ノン・モノガミーまで、多様な選択肢が用意されているところがさすがダイバーシティやLGBTが進んでいる(いた)アメリカ発のアプリと言うべきか、それとも、ターゲットを特に絞っていないアプリだと捉えるべきか。

さらなる補足になるが、ENMに加えて最近よく耳にするのがSapio-Sexual、サピオセクシャル。知的な人や相手の知性に性的な魅力を感じるという志向である。これは関係性がモノでもポリでも成立するので、Bumbleの選択肢にはなかった。正直になるとすれば——。このコンセプトには、知性フェチの傾向のある筆者も、けっして共感を感じなくはない、と告白しよう。
コラム

「告白文化」は本当に日本の専売特許か?
東アジア、欧米やラテンアメリカ、中東・南アジアには、本当に「告白文化」は存在しないのか?

ChatGPTに聞いたところ、以下のような傾向がみえてきた。

・東アジア(日本・韓国・中国・台湾)には「告白文化」が比較的広く存在する。
・欧米やラテンアメリカでは、告白せずにデートを重ねて自然に交際に移行するのが一般的。
・中東・南アジアでは、文化や宗教の影響で恋愛スタイルが異なるが、親への「告白」的なプロセスがあることもある。

日本の「告白してから付き合う」スタイルは、世界的に見ても珍しい部類に入るものの、東アジアでは比較的似た文化が根付いているようだ。

では、東アジアの「告白文化」とはどんなものだろう?

日本以外の東アジア諸国でも、恋愛を正式にスタートするために「告白」する文化が一般的のようだ。

1. 韓国

日本と同じく、「告白」して正式に交際を始めるスタイルが一般的。
「고백 (コベク)」という言葉があり、日本の「告白」と同じ意味で使われる。
ただし、日本よりもデート期間を経てから告白するケースが多い。
交際が始まると「100日記念日」などの記念日を大切にする文化もある。

2. 中国

中国にも「表白 (biǎobái)」という告白の概念があり、恋愛関係をはっきりさせるために使われる。
しかし、日本のように「付き合う前に好きと伝える」のが必須ではなく、まずデートを重ね、自然に交際が始まるケースも多い。
中国の若者の間では、欧米の恋愛スタイル(徐々に関係を築く)が浸透しつつある。

3. 台湾

台湾でも「告白(表白)」は一般的。
日本と似た文化があり、「好きです」と伝えて交際が始まるケースが多い。
ただし、アメリカの影響もあり、必ずしも「告白」が必要ではないカップルもいる。

高以良潤子◎ライター、ジャーナリスト、インストラクショナルデザイナー。シンガポールでの通信社記者経験、世界のビジネスリーダーへの取材実績あり。2015年よりAmazon勤務、インストラクショナルデザイナーを務めたのち、プログラムマネジャーとして、31カ国語で展開するウェブサイトの言語品質を統括するなど活躍。2022年より米国系IT企業勤務。


著者=高以良潤子 編集=石井節子
提供記事=Forbes JAPAN

SHARE

advertisement

次の記事を読み込んでいます。