海の未来を左右する重要な1年になる

財団の日本支部タラ オセアン ジャパンは「タラ ジャンビオ ブルーカーボンプロジェクト」を開始。ブルーカーボン生態系の実態と炭素循環の仕組みを理解し、その重要性を啓発するため全国11カ所以上で海藻・海草などを対象にした調査・研究を展開する。©Nicolas Floc'h
海洋環境の状況は良くない。だがしっかり手を打てば改善されることを示すポジティブな報告もある。
「ザトウクジラの増加はその一例でしょう。乱獲などから絶滅危機にありましたが、国際的に保護し今は1935年くらいの数値に頭数が増えました。地中海のマグロも似たような状況です。
このような事例は希望といえますし、行動を変えていけば、海は生物多様性が息づく本来の豊かさを取り戻すのです」。
和訳版が昨年出版された『北極で、なにがおきてるの?』(花伝社刊、アニエスベーのECサイトでも発売中)は、タラ号による地球温暖化の最前線・北極の探査をテーマに描いたコミック本。右はタラ オセアン財団20年の歩みを編纂した原書。和訳本は近日発売予定。
解決策も提言する。「ひとつは公海の30%を保護する国際条約の発効。23年に条約案が採択されたものの、まだ法的効力がないためやりたい放題のような状況なのです。
そこで商業活動を行う企業に環境インパクトを与えない証明を課すなど国際ルールを設ければ、海洋保全は前進すると考えます」。
続けて、今年は海の未来を左右する重要な年だとも教えてくれた。6月に母国のニースで、第3回国連海洋会議が開催されるからだ。同会議は海洋の持続可能な開発目標(SDGs14:海の豊かさを守ろう)の達成を促進するために開催。
各国政府、企業、NGO、科学者たちが海について包括的に議論する。ロマンさんも出席し、未来の海に希望を抱ける行動計画の決定に期待している。
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