フランス人の夏はやっぱり海。都会人も海とつながっている
一方で、海洋環境の改善には人々の関心が大切だ。いかに海とのつながりを感じられるか。そのつながりを、どのように築けるか。特に幼少期に。
「今ではパリの子供たちも海について学校で学びます。それにやっぱりフランス人は夏になると海を目指すんです。経済的に難しい子のためには、学校がオーガナイズしたりもします。
アニエスもヴェルサイユ出身ですが、足繁く地中海の別邸を訪れていました。都会に暮らしながら海とつながっていたから、海洋環境の変化に危機感を抱き、財団に関与するまでになったのです」。
財団の日本支部タラ オセアン ジャパンは国内の科学プロジェクトを行うだけでなく、子供を参加対象とするプロジェクトを多数展開。そのひとつが小学1年生から中学3年生を対象にアニエスべーと行うポスターコンクール。昨年は「海や地球環境を良くするためにできること」をテーマに作品を募集。
海離れが叫ばれる日本においても、財団は海に触れられるプロジェクトを展開してきた。
20年から子供たちを参加対象とするポスターコンクールを行い、特別賞受賞者などを香川県三豊市の粟島で行う「粟島海洋環境クラブ合宿」に招待。タラ号の活動を紹介する展示鑑賞を筆頭に、アートや科学のワークショップ、ビーチクリーンの体験を提供してきた。
ポスターコンクールの特別賞受賞者と抽選で選ばれたコンクール参加者は「粟島海洋環境クラブ合宿」で特別な時間を過ごした。
また4月13日(日)から始まる大阪・関西万博では、フランスパビリオンで海洋をテーマにした展示を5月中旬から約1カ月間にわたり開催。フランス人アーティストによるポップなアートが場内を彩ることになっている。
ブルターニュ地方にある母港ロリアン港でメンテナンス中のタラ号(右)とタラ極地ステーション。次の航海でタラ号は大西洋を西進し、パナマ運河を越え日本にやってくる。© Thomas Larrat // Fondation Tara Océan
さらに来年にはタラ号自体がやってくる。東南アジアでのサンゴ調査に向かう際の寄港で、触れ合いの機会も検討中。日本の人が楽しく海とつながるきっかけが多々予定されているのだ。