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スキンケアは「シンプル」で「低刺激」がおすすめ

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――さきほどスキンケアのお話がありましたが、正直なにを使ったら良いのか……。選び方のコツがあれば教えてもらいたいです!
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適切なスキンケア商品を選ぶことは難しい部分もありますが、使うものを見直したことで症状が緩和される方も多くいます。皮膚科の専門医の相談も受けながら、自分に合ったものを見つけてほしいと思いますね。

試すときには一度にたくさんのアイテムを使うのではなく、一つずつ試し、トラブルがあったときに何が原因か振り返りやすいようにすることが大事です。

――河合先生が実際にオススメしているものはありますか?
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皮膚科治療薬に特化した製薬会社であるマルホ株式会社の「イニクス」というスキンケアシリーズがおすすめです。どれも皮膚に刺激を与えないように作られており、スキンケアもしつつ必要な治療を邪魔しないのがコンセプトです。すでに皮膚トラブルがある方にとっても、非常に使いやすいアイテムだと思います。

特に洗顔料「クリーミィフォーム」はコスパも良くて、1~2カ月は使える量で3000円以内と購入しやすいです。クリニックまたはオンラインでの専売ですが、私も愛用しています。

いわゆる頭皮ケアで有名なものだと、持田製薬の「コラージュフルフルネクスト」というシャンプーですね。ミコナゾール硝酸塩という成分が含まれていて、これがフケの原因となるカビを抑える役割を果たします。

コラージュフルフルには、潤いタイプ、すっきりタイプなど使用感にもいくつか種類があるので、患者さんの肌質に合わせて、診療中にも「これ、試してみてください」とおすすめすることが多いです。

そのほかにも、低刺激のシャンプーであれば常盤薬品工業の「NOV」や、資生堂の「2e(ドゥーエ)」が良いですね。頭を洗いすぎて乾燥しがちな方や、シリコンが含まれたシャンプーを使っている方は、頭皮に負担をかけないものが理想です。どちらも男性でも問題なく使えて、低刺激で頭皮の皮脂を過剰に取りすぎず、非常に使いやすいです。

「現代人は洗いすぎ」というお話をしましたが、皮脂を過剰に取りすぎず、できるだけシンプルで刺激の少ない製品がこれからのトレンドになってくると思いますね。

具体的な治療方法は? どれくらいで改善する?

ーー最後に、脂漏性皮膚炎を発症してしまった場合、どのように治すのでしょう?

脂漏性皮膚炎は「増殖したカビを抑える」ことと「炎症を治す」ことの2方向を同時にアプローチして治療する必要があります。

具体的には抗真菌薬やステロイドを使用しますが、よくあるのが炎症だけ治す対症療法しかしていないケースです。それだけだと根本原因であるカビの発生が改善されないので、一旦は炎症がおさまっても再発しやすい。やがて慢性化してしまい、症状が長引きやすいという特徴があります。きちんと両方向で治療を続ければ、2〜3週間程度でだいぶ改善が見込める患者さんが多いです。

症状が改善した後も、カビを抑える薬を使用しながら免疫力の向上などデイリーケアを継続的に続けることも大切です。自分の免疫力のサイクルが把握できてくると、脂漏性皮膚炎の予防にも役立ちます。

患者さんでも「そろそろ繁忙期に入って疲れが溜まりそうだから、カビ予防の薬を増やしておこう」といった具合に、ライフサイクルに合わせて薬を調節し、事前に対策ができている方もいますよ。

――慢性的な疾患だからこそ、できるだけ悩まされる期間が少なくなるように工夫するのが大事なんですね!



脂漏性皮膚炎は決して珍しい病気ではないが、長期化しやすいのが悩ましいところ。一方で、日頃の正しいケアと適切な治療によって、十分に改善することが可能だと分かって安心した。少しでもかゆみや赤み、フケなどの異常を感じたら、早めに皮膚科の専門医に相談してみよう。

なお、公益社団法人日本皮膚科学会では、住まいに近い地域の皮膚科専門医を探せる「皮膚科専門医MAP」を公開している。皮膚のトラブルで受診先に迷ったときは、信頼できる医師を見つけるためにも、ぜひ活用してほしい。

岡田 圭(Verb)=取材・文 アントレース=編集

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