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東京・神奈川のラーメンシーンの影響が強い


同市は、隣の沼津市と合わせて、県東部を代表する「一大ラーメン激戦エリア」を形成する。静岡県東部のラーメンシーンは、関東圏(神奈川県)に近接するという地理的な事情も相まって、東京都、神奈川県のラーメンシーンの影響を色濃く受けている。特に三島市は、その傾向が顕著だ。
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三島市には、かつて、2006年6月に開業し、10年以上にわたり名声を轟かせ続けた実力店「めん処 藤堂」が、“静岡県東部の絶対王者”として君臨していた。同店の創業者は、神奈川県が誇る伝説的名店「中村屋」の出身だ。

残念ながら「藤堂」は、2017年3月、惜しまれつつその歴史に幕を下ろしたが、同店のDNAは現在においてもなお、「麺屋みのまる(本店は神奈川県)」や「つけ麺まぜそば ショウザン」など、市内に店舗を構える複数の人気店へと受け継がれている。
 今回のオススメ店のひとつ、 「つけ麺まぜそば ショウザン」。

今回のオススメ店のひとつ、 「つけ麺まぜそば ショウザン」。


「麺処 田ぶし 三島店」も、東京高円寺の実力店「麺処 田ぶし」の暖簾分け第1号店だ。「田ぶし」は現在、県東部を中心に静岡県内に5店舗を展開し、手掛ける1杯は、今や地元の味として定着した感がある。

2024年5月、三島市に開業した「一条流中華そば智颯」も、県東部と関東圏との関わりの深さを如実に示す1軒だ。同店は、2022年10月、東京四谷の「一条流がんこ 四谷荒木町」の間借り営業でスタートした、れっきとした都内をルーツとする店舗。2025年3月現在、広く県内全域や県外のラーメンマニアからの注目を集める話題店として、同市のラーメンシーンの活性化にひと役買っている。
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他方、三島市においては、「鈴福」「味のなかむら」などの老舗も熱い支持を得ている。これらの店舗は、長年にわたり、雨の日も風の日も営業し続けた結果、地域の人たちから「地元の味」として認知されるに至った、三島のラーメンシーンを語るに当たり絶対に外すことができない名店だ。

ラーメンマニアの皆さんは、くれぐれも関東圏由来の人気店に目を向けるがあまり、地元の老舗の存在をスルーすることのないよう注意願いたい。

と、ここまで三島市のラーメン事情をまとめると、同市は、(1)関東圏と深い繋がりがある人気店が複数存在し、ラーメン熱の発揚に貢献しているが、(2)地域の味として根付いた「三島と言えば○○」的な老舗もあり、ともに三島のラーメンを知るに当たり必要不可欠な存在である。また交通の便が良く、特に関東圏からは気軽にアクセスできるので、数回に分けてこまめに食べ歩きを進める方法も検討可能、ということになるだろう。

さて、ラーメン事情についての説明はこの程度にとどめ、そろそろ店舗紹介へと移りたい。
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