shutterstock
歓送迎会など、なにかとお酒の席が増えるシーズン。ついつい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまい、翌朝の体重計で絶望……。誰しもそんな経験があるだろう。
やってしまった自分の弱さは認めざるを得ないものの、どうかして暴飲暴食した分をチャラにできないものだろうか。
そんな邪念まみれの悩みを、ダイエットコーチの計太さんにぶつけてみた。
【写真6点】「48時間以内のリカバリー行動で太るを回避!」の詳細写真をチェック 48時間以内の行動で「太る」のリスク回避!

shutterstock
――お酒が入るとどうしても食べすぎてしまうのですが、食べた分をリセットするなんてことは可能なんでしょうか?そもそも1回の暴飲暴食くらいで、取り返しのつかないほど太ってしまうなんてことはないんです。人間にはホメオスタシス(生体恒常性)といって、身体を一定の状態に保とうとする機能が備わっています。
つまり、食べすぎて一時的に体重が増えてしまっても、勝手に元に戻ろうとしてくれる。飲み会の翌日以降は、この「勝手に戻る」という作用をいかに邪魔しない過ごし方をするか?が大切なんです。
目安としては、飲み会から48時間以内くらいで体をリカバリーするイメージです。これができれば食べ過ぎ分のリセット成功。逆に、48時間以上経っても体重が戻らないようなら、何か別の問題があると疑った方がいいでしょう。
――太るか太らないかの分かれ目は、飲み会から48時間以内の過ごし方次第ということですか。そうです。翌日〜翌々日は「水・食事・睡眠」が重要なポイントになります。いたってシンプルな方法ですが、これらがきちんと出来ていれば食べすぎた分が体脂肪として蓄積されるリスクを相当減らすことができます!
翌日以降は1日2リットルの水を飲むべし!

shutterstock
――翌日にするべき行動を詳しく教えてください!まずは「水をたくさん飲む」です。
飲み会の翌朝に体重が増えているケースのほとんどは、飲みすぎたアルコールによるむくみが原因です。アルコールには利尿作用があり、体は脱水状態に陥りやすいため、かえって水分を溜め込んでむくんでしまいます。
「むくんでいるのに、脱水?」と不思議に思われるかもしれませんが、血管の外の水分が多くなっているのが「むくみ」の正体。同時に、血管内の水分量は少し減ってしまっている状況です。飲み会翌日は1日2リットルは水を飲み、水分バランスを整えましょう。
そして飲み会中もチェイサーとして水を飲む習慣をつけましょう。アルコールの血中濃度を下げることで肝臓への負担を減らせます。目安としてはアルコールと同量の水を飲むよう意識してみてください。
――おすすめの食事はありますか?肝臓のダメージを早く回復させるためにも食事の内容は重要です。
通常、肝臓は食べたものの消化吸収を助け、不要なものの排泄を促す機能がありますが、たくさん飲んだ後の肝臓は、アルコールの分解を最優先にして働きます。
そのため、肝臓がアルコールを分解(代謝)している間のその他のカロリーは体脂肪の蓄積に繋がりやすい。例えば、飲み会中のおつまみや〆のラーメンなどですね。これがお酒で太るメカニズムの一つでもあります。
――肝臓が担うタスクがあまりにも多すぎるということですね。そうなんです。そのため、飲み会翌日は肝臓のダメージ修復を早める栄養素が必須です。
グルタチオンという栄養素がまさにそれにあたります。グルタチオンはアミノ酸から生成されるのですが、アミノ酸の元となるのがたんぱく質です。翌日の食事は必ず、たんぱく質を多く含むものを意識的にとりましょう。
たんぱく質の種類は、肉、魚、卵、大豆製品など何でもOKですが、できるだけ脂質の少ないものがオススメです。肉なら脂身の少ない赤身や鶏むねなど。魚なら脂ののった鯖よりも鮭や鱈、といった具合ですね。また、貝類もアルコール分解をサポートするオルニチンやタウリンを豊富に含みます。シジミやアサリ、牡蠣なども積極的にとるとなお良しです。
肝臓ダメージを早く回復させる食事はこれ!

shutterstock
一般的に、たんぱく質の摂取量の目安は「体重×1〜1.2g」。70kgの人なら70〜84gですね。3食きちんと食べていれば無理なく摂取できると思いますが、コンビニのパスタだけ、など単品メニューが多い人は不足しがちです。
1日トータルしても足りなそうだと感じるようなら、プロテインドリンクで補ってもOKです。ただし摂取すればするほど肝臓のダメージ回復が早まるわけではなく、とりすぎはむしろ体重オーバーや消化不良を招く要因にもなるので、量は守ってくださいね。
――たんぱく質は、筋肉だけではなくて肝臓にも関わる大事な栄養素なんですね。ほかに食事のポイントは?ビタミンCを多く含むものも積極的に食べましょう。
ビタミンCには抗酸化作用があり、アルコールを分解するときに出る活性酸素から肝臓を守ってくれる働きがあります。また、先ほどのグルタチオンの生成をサポートしてくれるのもビタミンCです。とても心強い存在ですが、アルコールの毒素はかなり強く、大量にビタミンCが消費されてしまうので、飲んだ翌日はしっかり補給するのが大切です。
ビタミンCはフルーツや野菜に多く含まれるので、朝食やコンビニランチのプラス1品などでも取り入れやすいと思います。フルーツや野菜はカリウムも豊富なので、むくみ対策としても有効です。
――なるほど。食事は「たんぱく質」と「ビタミンC」を意識、と。運動よりもダンゼン優先度が高いのは「睡眠」

shutterstock
最後に、とても重要なのが「睡眠」です。深夜まで二次会、三次会とハシゴし、翌朝は寝不足で出社……なんていうのはよくあると思いますが、とにかく飲み会翌日は少しでも早く帰宅して、早めに寝る! これが本当に大事です。
正直、1日深酒したくらいではそこまで影響はないですが、睡眠時間が短くなるような飲み会を重ねている人は、かなり注意してほしいポイントです。
というのも、睡眠時間が短くなると、起床就寝のリズムが乱れて交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがうまくいかなくなり、これが積み重なることで自律神経の働きが弱くなるんです。
僕たちの身体は自律神経によって調節されているので、自律神経が乱れると当然、内臓の機能も低下してしまう。その結果、代謝が悪くなり、どんどん太りやすい身体になってしまうんです。自律神経を労わってあげるためにも、睡眠の優先度はかなり高く設定したほうがいいですね。
――ちなみに、運動も取り入れた方がいいんでしょうか?無理なくできる範囲であれば運動はプラスでしかないので、やったほうがいいですね。ただし負荷の高すぎる筋トレや、寝る間を惜しんでするランニングなどはおすすめできません。これもやはり内臓をリカバリーさせるために、しっかり休むことを優先したほうがいいという考えからです。
負のループを呼び起こす? 飲み会翌日の厳禁行為
――ここまで飲み会翌日以降の過ごし方を教えてもらいましたが、反対にNG行為はありますか?ずばり、絶食や極端な食事制限ですね。これはゼッタイにNGです!
食べすぎたからといって食事を抜こうとすると、そのあとに必ず食欲の波がやってきます。そうすると、昼食や夕食を食べたのになんとなく満たされていない気がして、結局余計なお菓子を食べたりしがちです。食欲の波を呼び起こさないためには、暴飲暴食した翌日こそちゃんと食べるのが超重要なんです!
――「朝ごはんは抜いとこう」というのは、一番危ないってことですか?そうです。もし翌朝どうしても二日酔いでだるい、胃に何も入らない……という場合は、無理して固形物を食べなくとも、具なしの汁物やプロテインドリンクだけでも飲んでおくといいです。しじみ汁も良いですね。
そもそもですが、僕はビジネスマンの多くが「食べてなさすぎ」だと思っています。忙しいから、時間がないから、という理由で朝食を食べていないがゆえに、本来1日に必要なカロリーが足りていない。だから脳がカロリー不足を訴えて、食欲が暴走してしまう。これが負のループの始まりなんです。
飲み会で食欲が爆発してしまう人は、朝食を抜いて12時に昼食、20時に飲み会……みたいなケースが多いですよね。これでは空腹時間が長すぎるんです。空腹時間が長くなると、脳はどんどんカロリーを欲してしまいます。
――「食べていない」ことが「食べ過ぎてしまう」を誘発しているということですね?怖いのは、そういう人ほど「食べすぎたから減らしておこう」の思考パターンを繰り返してしまうところです。この「食べすぎたから減らしておこう」をやってる人って、次第に「どうせ食べすぎるから減らしておこう」ってやり始めるんですよ。
そうすると、カロリー不足で脳は食欲のホルモンを高めに出すのですが、それを日中仕事で集中することでカバーしたりだとか、「食べすぎちゃダメだ」という自制心や精神力でマスキングしたりするんです。
これでひとまずは食欲にフタをできるんですが、仕事が終わったリラックス感に加え、ここにアルコールが入ることで理性が効かなくなり、パカっとフタが開いて食べすぎちゃう。これが飲み会でやらかす人の典型的なパターンです。よかれと思ってやっている行動が、全部逆転現象になってしまう。
――暴飲暴食に向かわせる要因を自分で作り上げちゃっていたんですね。こわっ!そうなんです。このやらかし状態って、日頃から隠し持っていた欲求が暴れ出している状態なんですよね。
「やらかしちゃった自分はなんて意志が弱いんだろう」と絶望するかもしれませんが、食欲をセーブするのは精神面じゃないんです。
今回のテーマは「飲み会後のリカバリー」ですが、それよりも「飲み会前の下準備」がめちゃくちゃ大事だということは、最後に一言お伝えしておきたいです!
ーー根本的な原因に目を向けないと、一生負のループに陥ってしまうかもしれませんね……。自分の食事量もちゃんと見直してみます!
◇
本来ならば身体はきちんと元に戻る機能があるのに、極端な食事制限や活発すぎる運動でリカバリーの邪魔をしてしまっては本末転倒。「早く体重を戻したい」と無理に走らないことが、結果的にリカバリーの近道なのかもしれない。お酒の席が増えるシーズン、ぜひ意識してみよう。