③ キャムロン（Cam’ron）
Jay-Zが自ら立ち上げたレーベル、Roc-A-Fella内部で生まれた対立。
・キャムロンはRoc-A-Fella傘下で活動していたが、Jay-Zのレーベル運営姿勢や優先順位に不満を抱く。
・お互いにディスを飛ばし合う状況となり、Cam’ronはJay-Zを「企業化した裏切り者」と批判。
・しかし近年はお互いリスペクトの言葉を述べており、ビーフは終結したと見られてる。
④ ビーニー・シーゲル（Beanie Sigel）
Roc-A-Fellaに属していた時代、Jay-ZにとってはZ弟分的存在だったビーニー。
・ビーニーはJay-Zを“兄貴分”として尊敬していたが、レーベルからのサポート不足を感じ、のちに不満を爆発。
・2009年にはJay-Zをディスする楽曲を発表。
・しかしJay-Zはこれに正面から応じることはなく、やがて状況は沈静化。
・ビーニーは現在はラッパーとしての活動を続けておらず、NYにてフードトラック系のレストランを経営している。
⑤ ジャズ・オー（Jaz-O）
Jay-Zの名前の由来となった存在であり、「師匠」でもあった男だが一度は関係が断絶していた。
・Jaz-OはJay-Zがラップを始めた初期に最も大きな影響を与えた人物。
・しかしJay-ZがRoc-A-Fellaで成功してからは関係が悪化。
・Jaz-Oは「業界で成功したJay-Zが古い仲間を見捨てた」と批判。
・長年にわたり疎遠だったが、2020年に再会・和解し、写真も公開された。
このようにJay-Zは、音楽キャリアの中で数多くのラッパーたちと火花を散らしながらも、最終的には和解やリスペクトによって関係を修復するパターンが多いのが特徴である。彼の懐の深さと、ビジネスパーソンとしての合理性が見て取れる部分でもあった。
しかし、Jay-Zのキャリアには“ビーフ”以上の事件も存在する。1999年、当時30歳だったJay-Zは、ナイトクラブでレコード会社幹部のランス・“アン”・リヴェラ（Lance “Un” Rivera）を
刺したとして逮捕されているのである。
原因はJay-Zのアルバム『Vol. 3... Life and Times of S. Carter』がリリース前にリークされたことにあり、その黒幕がリヴェラだと疑ったJay-Zが衝動的に行動したとされる。
Jay-Zはのちに第3級暴行の罪を認め、実刑ではなく3年間の保護観察処分を受けるにとどまった。この事件は、彼のストリート的な衝動がまだ完全には消えていなかったこと、そして一流アーティストであっても、負の感情を抑えきれない瞬間があることを象徴する出来事となった。
5/6
