
寄せては返す波のように、デニムのトレンドも定期的に繰り返す。
国内外のブランドのプロモーションを手掛ける瀬戸章汰さんもまた、その波を楽しんできたひとりだ。さまざまなブランドを通ってきたが、20代後半から再びリーバイスに原点回帰したという。そんな彼が、現在進行形で愛用する3本とは。
【写真23点】「理想のリーバイス501を探し求めた男が行き着いた3本のデニム」の詳細を写真でチェック 紹介してくれたのは……
瀬戸章汰(せと・しょうた)●青春をラグビーに捧げた高校時代を経て、大学進学とともにファッションに開眼。吉田カバンでモノ作りのイロハを学びつつ、転職し現在はグリニッジショールームにて海外の有力ブランドのプロモーションを担当。
自身の無知さとリーバイスの偉大さに気づけた先輩の助言
世代によって価値観にズレが出るのは当然のこと。リーバイスは我々にとって欠かせない存在だが、ユース世代にとっては有力候補の域を出ない。今年で31歳を迎える瀬戸さんが初めてリーバイスをはいたのは中学生の頃。ファーストコンタクトは早かったが、そこから長い間遠ざかっていた。

「地元のショッピングモールに行ったとき、父親が『デニムといえばリーバイスだから』と買ってくれました。たしか511というストレートの細身でストレッチ入りの1本だったと思います。
それから大学進学を機にファッションに目覚め、当時はあらゆる雑誌に目を通していました。雑誌の中で“シルエットがいい!”と紹介されていたアー・ペー・セーのデニムを買いました。その頃からリーバイスとは疎遠になりましたね」。

2001年、エディ・スリマンが「ディオール オム」のディレクターに就任して以降、モード界ではタイトシルエットが大ブームとなり、NYや北欧から発信されるスタイリッシュなデニムがシーンを席巻。タテ落ちやアタリ感よりも、細さやシルエットの美しさが重視された。その流れは、瀬戸青年のデニム選びにも影響を及ぼす。

「当時デニムはスキニーが主流だったので、シルエットもビッタビタなものばかりを探していましたね。ヴィンテージデニムはおじさんくさいとさえ思っていましたから(笑)。
20歳前後の頃って、知識よりお洒落に見えるかが大事じゃないですか。デニムはアイテムとしてはすごくカジュアルですから、キレイに見られたいという意識が働いたんだと思います」。

ファッション業界へ足を踏み入れて一年目に転機が訪れる。きっかけは同じ部署で働いていた先輩との出会いだ。その先輩、ヴィンテージ界隈では名の通った人物で、『開運!なんでも鑑定団』へも出演経験もあるとか。しかも、出演時に紹介した1本は100万円以上の値が付けられたという。
こちらが先輩のInstagram。デニムに関する投稿も。
「デニムコレクターの先輩と一緒に電車に乗っていると、ディテールの話や歴史について色々教えてくれるんですよ。僕自身、歴史が好きで、大学も歴史にまつわる学科を専攻していたので、すいすい話が入ってきましたね。
歴史の厚みや世に与える影響力、知る人ぞ知る逸話などを聞くたび、リーバイスってすごいブランドなんだと実感しました。と同時に、自分の無知が恥ずかしくなりました。当時24歳ぐらいだったと思います」。
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